2015 Fiscal Year Research-status Report
パラジウム触媒によるCO挿入反応を用いた生物活性物質の合成研究
Project/Area Number |
15K07408
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
真壁 秀文 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (90313840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天然物 / 生理活性物質 / カルボニレーション / ラクトン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pd触媒によるCO挿入反応では水酸基やアミノ基によりアシルパラジウム錯体を求核付加してラクトンやラクタムを合成する反応は多く報告されている。しかし,ケトン体のO -エノラートにより環化する方法の天然物合成への応用は限られている。本研究ではカビ毒や植物病原菌の毒素に見られるイソクマリン化合物を本手法を用いて効率的に合成することを目的とし,fusariumin,legioliulinなどの合成研究を行った。まずlegioliulinの合成を行った。合成戦略としては共役二重結合を含む側鎖をアルキンのヒドロメタル化続いてクロスカップリングを用いて構築する方法を採用した。しかし,ヒドロジルコニウム化がうまく進行しなかったので後述する方法に合成戦略を変更した。 3-Methoxyphenylacetic acidを出発物質として3工程でオルト位にヨウ素を導入した芳香族アルデヒドを合成した。続いてGrignard反応によるアリルアルコールを導入し,2級水酸基を酸化してエノンを得た。この化合物に対してCO存在下でカルボニレーションおよびO -エノラートによる環化反応を行った。反応条件を種々検討したところ,酢酸ナトリウムを塩基として用いた場合に57%の収率で目的物が得られた。続いて側鎖導入のためHeck反応を行ったところ,P(t-Bu)3をリガンドとして用いたところ66%の収率で目的物が得られた。最後に三臭化ホウ素で処理し,legioliulinの合成を達成した。一方,fusariuminに関しては側鎖の導入を達成したので数工程を経て合成ができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パラジウム触媒によるCO挿入反応,続くO-エノラートによる環化反応を用いたイソクマリン化合物であるfusariumin,legioliulinの合成ではほぼ合成経路を確立した。しかし当初の予定にあった学会発表と論文発表には至っていない。また,セスキテルペン化合物の合成はCO挿入反応と環化反応における反応条件の最適化を行っている段階である。全体的には当初の目標より「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
パラジウム触媒によるCO挿入反応,続くO-エノラートによる環化反応を用いたイソクマリン化合物に関しては合成の最終段階に来ているので直ちに合成を完了させ,学会発表と論文発表を行う予定である。また,セスキテルペン化合物の合成はPd触媒とリガンドのスクリーニングおよびCOの圧力に関して反応条件の最適化をまず行う予定である。反応条件の最適化が達成されれば全合成を完成する予定である。
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