2015 Fiscal Year Research-status Report
ヤエヤマサソリ由来のペプチド毒素LaIT1の昆虫選択的毒性発現機構の解明
Project/Area Number |
15K07412
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮下 正弘 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80324664)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | scorpion toxin / receptor binding / iodination / insect toxicity / peptide |
Outline of Annual Research Achievements |
LaIT1はヤエヤマサソリ毒液から単離されたペプチド毒素である。LaIT1は昆虫特異的な毒性を示すことから、それ自体が生物農薬として応用が期待できるだけでなく、その作用機構が明らかとなれば、これをターゲットとした新たな農薬の開発にも有用となる。しかしながら、類似した毒素がほとんど存在しないこともあってLaIT1の作用機構についてはほとんど知見が得られておらず、毒素投与後の昆虫の症状などから神経系に作用していることが推察されているのみである。そこで本研究ではLaIT1の作用部位の推定を目的として、まず放射性同位体標識したLaIT1による結合実験を行うこととした。 LaIT1の配列には一つのチロシン残基が含まれており、その側鎖への放射性ヨウ素の導入により標識化することが可能である。これまでの実験よって、LaIT1に対するヨウ素導入反応が進行することを確認しているが、導入効率が低いという問題があった。今回さらにヨウ素導入効率の向上を目指して種々の条件検討をおこなった結果、ヨウ素の導入効率を13%程度まで高められることが分かった。さらにヨウ素導入による活性への影響を調べるため、得られたヨウ素導入体の殺虫活性を、コオロギを用いて測定した。その結果、ヨウ素導入体は元のLaIT1と同程度の殺虫活性を示すことが分かった。このことから、チロシン残基へのヨウ素導入は殺虫活性に影響を与えないことが明らかとなり、今後放射性ヨウ素を用いて標識化したLaIT1を用いて各組織との結合活性を調べることにより、LaIT1の昆虫体内における結合部位が推定できるものと期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、電気生理学実験によって各種イオンチャネルへの作用も調べる予定であった。しかしながら、ヨウ素標識化LaIT1の合成に、想定よりも多くの時間を必要としたため、電気生理学実験まで進めることができなかった。それ以外については、計画通りに進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射性ヨウ素を用いてLaIT1の標識化を行った後、これを用いて昆虫(カイコ)の各組織から抽出した細胞膜画分との特異的結合を測定し、昆虫体内における作用部位を限定する。その情報をもとに、電気生理学実験によって各種イオンチャネルへの作用を調べ、LaIT1の作用部位の特定を試みる。
|