2016 Fiscal Year Research-status Report
環境保全型農薬として期待される精油とその標的受容体の昆虫種間比較薬理解析
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15K07414
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| Research Institution | Kumamoto University |
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Principal Investigator |
太田 広人 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (60450334)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 昆虫 / 農薬 / カイコ / ミツバチ / オクトパミン / チラミン / 受容体 / 精油 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環境保全型の農薬として期待される精油の作用部位として、オクトパミン受容体OARとチラミン受容体TARに注目し、ミツバチを含む複数の昆虫種からの同受容体遺伝子のクローニング、培養細胞での発現、発現受容体に対する精油の評価、昆虫種間での薬理比較を行ってきた。いくつかの昆虫受容体で薬理解析に到達していないもの、そもそも発現がうまくいかなかったものもあったが、概ね予定していた昆虫種からの受容体クローニングと発現解析、薬理解析に成功した。ウンカの遺伝子クローニングが遅れていたが、共同研究者によって完了した。前年度までに殺虫性精油チモールがミツバチTARに僅かにアゴニスト作用を示すことが分かっていたが、他の精油を調べていく中で、カルバクロールにもごく僅かに活性があることが分かった。これら精油は、カイコやミツバチのOARには全く作用しなかった。現在、ミツバチ以外の昆虫TARに対するこれら精油の応答を詳しく調べている。アゴニスト作用だけでなく、アンタゴニスト作用についても調べていく。現在までに、上記2つの精油を含む10種類の精油の薬理解析を行ってきたが、さらに多くの精油や代表的市販化合物・天然成分、有機合成で得た化合物についての解析も進めている。OARは古くから殺虫剤標的として知られていることから、カイコ、ミツバチ、ショウジョウバエのOARに対する農薬企業化合物の評価も行った。ユニークな構造の化合物が応答すること、ミツバチとの選択性に重要な化合物構造なども分かってきたので、引き続き、調査していく。薬理解析が遅れているウンカの受容体については、次年度集中的に解析を進める。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウンカの受容体クローニングが遅れていたが、共同研究者により完了した。それ以外の昆虫種でのOAR/TAR解析は、前年度計画以上に進展したことで新たに加えたショウジョウバエOARも含めて、概ね予定通りに進んでいる。精油のみならず、農薬企業化合物の評価も実施することで、薬理解析が大きく進展した。
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| Strategy for Future Research Activity |
ウンカの発現解析、薬理解析を集中的に行っていく予定だが、難航することも想定し、近年ゲノム解読が完了した害虫アブラムシでの解析も並行して進める。今のところ、精油はOARではなくTARに作用することが分かってきたので、評価する精油の種類を増やして、TARに対して特に詳しく調べていく。精油だけでなく、市販化合物や天然成分を評価したり、関連化合物を合成することで、構造と活性の関係についても調査する。農薬企業から継続的に化合物を提供していただける状況にあるので、それら化合物についてのOARのみならずTARに対する影響についても調べていく。
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| Causes of Carryover |
ウンカの遺伝子クローニングは共同研究者により行われたので、費用が発生せず、それ以降の発現・機能・薬理解析までは研究が到達しなかったので、そこで使用する予定だった細胞培養関連試薬やアッセイ関連試薬の購入がなかった。評価してきた精油や化合物の多くは、農薬企業から提供されたものを使用したので、化合物の購入も限定的だった。以上の理由から、次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
ウンカやそれ以外の昆虫のOAR/TAR機能・薬理解析に必要な消耗品の購入、アブラムシでの解析も次年度に加えたので、遺伝子クローニング（外注での遺伝子合成も想定）とその他必要となる消耗品の購入、市販化合物や関連天然成分・精油成分の購入、化合物の合成や機器分析費用、成果報告や情報収集のための学会参加及び論文投稿にかかる費用などに主に充てていく計画である。
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Research Products
(16 results)
