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2015 Fiscal Year Research-status Report

果菜ファイトケミカルの糖尿病およびインスリン抵抗性に対する作用解析

Research Project

Project/Area Number 15K07424
Research InstitutionUtsunomiya University

Principal Investigator

矢ヶ崎 一三  宇都宮大学, バイサイエンス教育研究センター, 特任教授 (20166474)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords2型糖尿病 / 高尿酸血症 / インスリン抵抗性 / 果菜 / ファイトケミカル / 筋細胞 / 肝細胞 / リン酸化
Outline of Annual Research Achievements

筋肉は体の中で最大の組織であり食後血糖(グルコース)の最大75%を取り込むとされることから、糖質代謝に重要な役割を演じていると考えられる。そこで培養筋管細胞をモデル筋肉とみなして、複数の果菜由来成分やその体内代謝物の培養筋細胞内へのグルコース取り込みに対する影響を検討した。そのうち、リグナンはイチゴやアンズなどの果菜に含まれ、経口摂取すると腸内細菌叢によって最終的にエンテロラクトン(ENL)へ変換された後、血液中に入って作用することが報告されている。このENLは培養筋細胞によるグルコース取り込みを促進すること、筋細胞がグルコース取り込みを行うに当たってグルコース輸送体4(GLUT4)の細胞膜移行が必須であるが、ENLはこの移行をインスリンとは異なるAMPK経路を介して促進することが見出された。また、ENLは2型糖尿病モデルマウスで血糖値上昇を抑えることも認められた。
2型糖尿病モデルマウスと正常マウスの比較により、糖尿病モデルマウスでは空腹時血糖値、インスリン濃度、インスリン抵抗性(インスリンが作用しにくくなる)の指標であるHOMA-IRが上昇するとともに、血漿尿酸濃度も有意に高まることを見出した。そして血漿中の尿酸濃度と、血糖値、インスリン濃度およびHOMA-IRとがそれぞれ有意な正相関を示すことを見出した。インスリン作用はAktと呼ばれるタンパク質のリン酸化を介して発揮される。高濃度尿酸がなぜインスリン抵抗性を引き起こすのかを、培養肝細胞へ尿酸とインスリンを作用させることによってAktのリン酸化を指標として解析を継続している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していた果菜類中に含まれる検体が細胞培養系によく使用されるDMSOなどの溶媒に溶解しにくく、細胞培養系にて効果が認めにくい点があった。溶解法の検討や別の検体の作用検討に時間を要した。この点で、研究進捗が少し遅れ気味となった。しかし、このことがきっかけとなって、体内に存在する形、例えば腸内細菌による分解物ないし体内での存在形態で細胞に作用させることの重要性に気づいた。一方、尿酸濃度と2型糖尿病時インスリン抵抗性の相関係については、細胞レベルに先んじて個体レベルで明確にすることができた。このことから、抗高尿酸血症作用を有するファイトケミカルが2型糖尿病時のインスリン抵抗性を軽減化する可能性が示唆された。この点は予定以上の成果といえる。総合的に、おおむね順調に進展している、と判断された。

Strategy for Future Research Activity

培養筋細胞によるグルコース取り込み能に対する果菜成分の促進作用の有無の検討を継続する。促進作用のある成分については作用機構の解析および2型糖尿病モデルマウスにおける個体レベルでの空腹時血糖や糖・脂質代謝に対する作用を検討する。
また、血清(漿)尿酸濃度の上昇がインスリン抵抗性を誘発する機構を培養肝細胞のAktのリン酸化程度を指標として解明するとともに果菜中の成分ないしその体内代謝物が高濃度尿酸によるインスリン抵抗性を解除し、糖尿病の増悪を防ぎうるのかどうかも検討する。
この二つの研究から、抗高尿酸血症作用のある果菜成分が尿酸によるインスリン抵抗性を解除しうるのか、抗糖尿病作用のある果菜成分が高尿酸血症を抑制しうるのかを解明したい。

Causes of Carryover

今年度は、細胞アッセイ系の立ち上げや初期の機器設定があり、実験の実質的スタート時期が若干遅れたことが原因の一つである。
また、当初予定していた本研究費での学会参加旅費の一部と動物代が節約ができ、次年度に予想される高額費用支出に使用することが可能となる。

Expenditure Plan for Carryover Budget

培養細胞実験では被験物質は少量で済むが、次年度計画において動物実験で使うことを考えている被験物質や動物代が相当高額であるので、その一部として前年度分を使用する。また、余裕があれば国際学会参加用費用に使用することも考えている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 2型糖尿病モデルマウスにおける高尿酸血症の発症とインスリン抵抗性との相関2016

    • Author(s)
      矢ヶ崎一三、安達真一、吉澤史昭
    • Organizer
      日本栄養・食糧学会大会
    • Place of Presentation
      武庫川女子大学中央キャンパス
    • Year and Date
      2016-05-13 – 2016-05-15
  • [Presentation] リグナン腸内細菌代謝物エンテロラクトンの抗糖尿病作用とその機構解析2016

    • Author(s)
      矢ヶ崎一三、周芳、古橋慶亮、孫銘辰、豊﨑美紅、吉澤史昭、三浦豊
    • Organizer
      日本農芸化学会大会
    • Place of Presentation
      札幌コンベンションセンター
    • Year and Date
      2016-03-27 – 2016-03-30

URL: 

Published: 2017-01-06  

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