2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07426
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
片山 茂 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30443922)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 配糖体 / 認知能力 / 老化促進モデルマウス / 神経細胞保護効果 / Hsp70 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「生体吸収性に優れたフェノール類配糖体」を酵素合成法により創製し、神経変性疾患予防剤の開発を目的とする。初代神経細胞を用いたスクリーニング試験で得た構造活性相関データをもとにリモデリングを繰り返し、構造最適化を図ることとしている。前年度までに、フェルラ酸をアグリコン骨格とした配糖体である1-Synapoyl-2-feruloylgentibioseがHsp70発現増強効果を有することを明らかにした。本年度、得られた研究成果は以下のとおりである:1.1-Synapoyl-2-feruloylgentibioseのin vivoでの効果を検証するため、大量調製方法を検討した。その結果、1-Synapoyl-2-feruloylgentibiose含有画分を固相抽出により単離することに成功した。2.通常飼料AIN-93Mに1-Synapoyl-2-feruloylgentibioseを1%(w/w)混合した飼料を用いて、マウス実験を行った。記憶低下を早期に誘発する老化促進モデルマウスSAMP8(雄、15週齢)を用いて、記憶低下抑制効果を検証した。短期記憶の評価として、Y字迷路試験を行った。その結果、摂取2ヶ月後および3ヶ月後ではコントロール群と比較して大きな変化は見られなかったが、摂取5ヶ月後および6ヶ月後では試料投与群において正答率が顕著に増加することが示された。すなわち、1-Synapoyl-2-feruloylgentibiose含有画分の摂取は老化に伴う認知機能低下を効果的に抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の当初の目的であった、老化促進モデルマウスSAMP8を用いたin vivoでの効果の検証に着手し、短期記憶試験の結果、顕著な効果を得ることができた。in vitroでの構造最適化をさらに進めることが求められるが、in vivoでの効果を得たことは有意義といえる。したがって、現時点では、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在進行中のマウス実験において、長期記憶の評価試験(バーンズ迷路)を実施するとともに、認知機能改善に関する分子作用機序の解明に取り組む。作用機序として、Hsp70やBDNFなどの神経変性保護に着目し、これらの遺伝子発現解析を行うとともに、転写CREBの関与やシグナル制御機構の解明に取り組んでいく。
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