2017 Fiscal Year Annual Research Report
Enzymatic synthesis of novel rutinoside and its neuroprotective properties
Project/Area Number |
15K07426
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
片山 茂 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30443922)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / BDNF / 配糖体 / フェルラ酸 / アストロサイト / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経変性疾患予防剤の開発を目的として、「生体吸収性に優れたフェノール類配糖体」を酵素合成法により創製し、初代神経細胞を用いたin vitroでのスクリーニング試験後、候補化合物を選定し、マウス投与試験によりin vivoでの効果を検証した。今年度は、マウス胎児脳由来初代培養アストロサイトを用いたin vitroスクリーニング試験を実施したところ、フェルラ酸ルチノシドにおいて優れたBDNF発現促進作用が認められた。遺伝子発現だけでなくタンパク質発現においても、フェルラ酸ルチノシドはアグリコンであるフェルラ酸よりも高い発現量を示した。神経栄養因子であるBDNFは神経細胞の生存および成長促進効果を有することから、フェルラ酸ルチノシドによるBDNF産生促進は神経細胞保護に寄与することが期待される。続いて、フェルラ酸ルチノシドの生体吸収性に関する知見を得るため、ヒト腸管上皮細胞培養株Caco-2を用いて細胞透過性を評価した。その結果、フェルラ酸およびフェルラ酸ルチノシドは経時的に下層側に透過することが示された。両者を比較すると、フェルラ酸ルチノシドの方がフェルラ酸よりも顕著に高い透過率を示した。フェルラ酸ルチノシドにおいては少量ではあるが、アグリコンであるフェルラ酸が下層に検出された。以上の結果より、フェルラ酸はルチノシル化により上皮細胞透過性が増加することが示唆された。最後に、フェルラ酸ルチノシドのin vivoでの効果を検証するため、マウスへの投与試験を行った。C57BL/6Jマウスに5日間連続投与を行い、脳海馬でのBDNF発現量を測定した。その結果、PBS投与のコントロール群と比べて顕著な変化は認められなかった。今回の試験では、in vivoでの効果は認められなかったが、投与量および投与期間を見直し、引き続き検証を重ねていく予定である。
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Research Products
(5 results)