2015 Fiscal Year Research-status Report
腸上皮細胞から再放出される断片化ラクトフェリンによる腸内細菌制御に関する研究
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15K07428
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大島 健司 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90391888)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腸上皮細胞 / ラクトフェリン / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のメタゲノム解析により、約1000 種類の常在菌からなる腸内細菌叢のバランスが宿主の代謝・免疫に影響することが明らかとされており、そのバランスが疾患の発症にも関連することが明らかにされつつある。健康維持のため望ましい腸内細菌叢を形成するには、疾病関連菌の増殖を抑制しつつ有用菌を腸管内へと生着させる必要がある。腸上皮細胞は物理的障壁として腸管腔内の物質が体内に侵入することを防ぐとともに、RegIII やLypd8、lysozyme、defensin など様々な抗菌タンパク質や分泌型IgA を細胞頂端側へと分泌することにより、管腔内の腸内細菌の増殖を制御している。しかしながら、細菌叢の形成を促進する宿主の内在的因子については研究が進んでいない。ラクトフェリン (LF) とその消化断片は広い腸内細菌種の増殖を抑制する一方で、ビフィズス菌の増殖を促進する。我々は培養腸上皮細胞により未消化LF が取り込まれ、細胞内で分解され細胞外へと再放出されることを報告している。本研究では、腸上皮細胞から再放出されたLF 断片が腸内細菌への抗菌活性やビフィズス菌増殖促進作用、免疫制御機能を発揮するという仮説を立て、これを検証することを目的とする。今年度は、腸上皮細胞によりLFが取り込まれる機構を明らかとするため、培養腸上皮細胞によるLFの取り込みをリアルタイム観察する系の確立を目指した。顕微鏡下で観察するために使用する蛍光タンパク質融合LFの発現に成功した。また、腸上皮細胞が蛍光タンパク質融合LFを取り込み、細胞内に蓄積する過程の観察に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、腸上皮細胞によるLF取り込みのリアルタイム観察は平成28年度以降に計画されている。そのため、平成27年度に計画されているものとは異なるものが進捗したが、計画に大きな変更はない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り計画の順序は変更されたが、今後も研究計画に則り研究を進行していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の順序に変更があり、支出予定額とは異なる支出となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度以降も全体的な研究計画に変更はないため、次年度使用額と翌年度分請求助成金を合わせて執行していく予定である。
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