2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the construction of taste transmission pathway from taste receptor cells to taste nerves and the role of ATP
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15K07429
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 由佳子 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60212156)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 味覚 / 情報伝達 / 酸味 / セロトニン / ATP受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
各味溶液に対して応答を示した細胞におけるセロトニンの有無を明らかとするため、カルシウムイメージング法と免疫細胞染色法を行った。前者の手法により、ATP応答細胞と酸味応答細胞を選別し、後者の手法により、各細胞のセロトニンの有無を観察した。その結果、ATP応答細胞がセロトニンを必ず有する一方で、必ずしも全ての酸味応答細胞がセロトニンを有しているわけではないことが示された。これより、酸味受容型Ⅲ型細胞が、味神経とシナプス形成をしているという従来の情報伝達機構を有していない可能性が示唆された。続いて、この可能性を味細胞における受容体発現の面からも確認するため、免疫組織染色を行い、味蕾内の各種味細胞におけるセロトニンの分布を調べた。その結果、Ⅱ型細胞はセロトニンを発現しない一方で、Ⅲ型細胞マーカーのNCAM発現細胞の全てがセロトニンを発現しているわけではないことが示された。さらに、酸味受容型Ⅲ型細胞マーカーのCAR-4およびPKD2L1を発現する多くの細胞が、セロトニンを有していないことが示された。これより、受容体発現の面からも、結果の妥当性があること示された。 考察。一連の結果から「酸味受容型」Ⅲ型細胞はセロトニンを有しておらず、間接的に 「ATP受容型」Ⅲ型細胞はセロトニンを有していることが分かった。これにより、「酸味受容型」Ⅲ型細胞がシナプス形成をしておらず、新たな情報機構を持つ可能性が示唆された。そこで、「酸味受容型」Ⅲ型細胞から「ATP受容型」Ⅲ型細胞へ味情報が伝達され、伝達された味情報が「ATP受容型」Ⅲ型細胞からのセロトニンにより味神経に伝達される、と仮説モデルを提唱した
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Research Products
(3 results)