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2016 Fiscal Year Research-status Report

新奇高アミロースサツマイモ澱粉の微細分子構造と難消化性獲得機構の解明

Research Project

Project/Area Number 15K07435
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

北原 兼文  鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (30240922)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords高アミロースサツマイモ澱粉 / 調製法開発 / アミロペクチン構造 / 同化澱粉 / 糊化抵抗性残渣構造
Outline of Annual Research Achievements

新たに収穫した高アミロースサツマイモ澱粉のアミロース含量を測定した結果、九系07277-149は54.1%、九系07278-197は46.7%と高アミロース性を確認した。しかし、両系統の過去からのアミロース含量含量には、変動幅が約15%もあることから、本形質は不安定であることが示唆された。昨年度に開発したアミロペクチンの調製法において、試薬添加量や調製スケール、溶解時間に改良を加え、収率を約60%にまで高めることに成功した。高アミロース澱粉から分別したアミロペクチンの構成単位鎖分布において、両系統ともアミロース様の超長鎖が普通のサツマイモアミロペクチンの3-4倍多く、その超長鎖は長いことを初めて見出すとともに、重合度100以下の単位鎖分布も普通アミロペクチンの分布とは著しく異なり、特異なクラスター構造をとっていることが示唆された。
従来の緑葉中の同化澱粉の調製法では、澱粉-ヨウ素複合体を特異的に沈殿回収後、亜ヒ酸によるヨウ素の還元で複合体を溶解する工程があった。ヒ素化合物の使用を避けるため、澱粉-ヨウ素複合体の溶解法について各種還元剤やアルカリ溶解を検討した結果、アスコルビン酸を用いたヨウ素還元により澱粉が調製できることを見出した。この調製澱粉は未処理澱粉と構成単位鎖分布に変化がないことを確認し、現在は同化澱粉の調製を進めている。
高アミロース澱粉は糊化抵抗性残渣が顕微鏡で観察される。そこで、糊化澱粉の水洗を繰り返して可溶性画分と不溶性画分に分けて構成単位鎖分布を調べた。その結果、収率約20%の可溶性画分はイソアミラーゼ処理の有無でも単位鎖分布に大きな変化がないことから主に直鎖状のアミロース成分が溶出していることが分かり、残りの不溶性画分は分画前の単位鎖分布と類似することから、アミロースとアミロペクチンの複雑なネットワーク構造により糊化抵抗性を持つことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

前年度から引き続いて高アミロースサツマイモ澱粉のアミロペクチンの調製法の再検討から実施した。その結果、十分量の良質なアミロペクチンが得られ、詳細な構造解析の結果を得ることができた。その後、緑葉の同化澱粉の調製においても、水質汚濁防止法改正の観点から有害なヒ素化合物の使用を避けるために、予定外の澱粉調製法に改良を加えた。この改良調製法も確立に成功し、同化澱粉の調製と構造解析は現在進行中となっている。
以上のように、試料の調製法の検討を丁寧に実施しために時間を要し、実験の完了までにやや遅れていると自己判断したが、着実に問題を解決して実験は進んでおり、達成率は80%と考えている。

Strategy for Future Research Activity

緑葉の同化澱粉の構造解析を進めると共に、高アミロースサツマイモ澱粉の酸抵抗性残渣や酵素抵抗性残渣の構造解析を行う。また、当初実験計画に従い、高アミロースサツマイモ澱粉の加熱糊化条件と難消化性澱粉の生成量との関連を調べる。これらを達成することにより、高アミロース澱粉を産するサツマイモ系統の器官別澱粉の構造特性を明らかにする一方、高アミロース澱粉の構造特性と難糊化性や難消化性などの機能特性との関連性を考察する。

Causes of Carryover

国際学会に出席・発表予定であったが本務の都合により参加できなかったこと、また本研究で多用する糊化測定機ラピッドビスコアナライザーにおいて突発的な部品消耗のため予定外の修理が必要となったことにより、消耗品の使途を変更したため残金が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度の消耗品費に充て、分析カラムや測定キット、試薬、器具を充実し、研究の推進を加速化する。

URL: 

Published: 2018-01-16  

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