2017 Fiscal Year Research-status Report
ミラクリン類似タンパク質を用いたミラクリン味覚修飾活性発現機構の解明
Project/Area Number |
15K07445
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
井深 章子 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (60301420)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 甘味タンパク質 / 味覚修飾活性 / ミラクリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ミラクリンは酸味を甘味に変換する活性(味覚修飾活性)を有するホモ二量体タンパク質である。遺伝子配列の報告以来、複数の研究グループによって研究が進められてきたが、組換えタンパク質の大量生産が困難であり分子レベルでの解析は進んでいない。そこで本研究では、ミラクリンとアミノ酸配列の相同性が高いミラクリン類似タンパク質(Miraculin-like proteins, MLPs)を研究対象とすることで、ミラクリンの味覚修飾メカニズムを解明することを目指している。 初年度には、MLPsの中でも特にミラクリンとのアミノ酸配列相同性が高いブドウ由来MLP (vvMLP)の大量発現系の構築、精製条件の確立を行い、vvMLPが単量体として存在することを確認した。それを受けて、2年目(昨年度)は、vvMLPのX線結晶構造解析、vvMLPへの部位特異的変異導入を行なった。結晶構造解析については、データ収集に適した結晶が得られ、構造決定に成功した。二量体形成に必須とされるシステイン残基などにおける部位特異的変異導入によりvvMLPの二量体化を試みたが、変異導入によりvvMLPの不溶化が起き、味覚修飾活性等の解析には至らなかった。 本年度は、vvMLPとミラクリンのキメラタンパク質の作成、および前年度作成した変異型vvMLPの発現条件検討を進めた。キメラタンパク質作成においては、二量体化にはこだわらず、タンパク質全長にわたって数多くの可溶性キメラタンパク質の取得を試みた。その結果、ミラクリンにおける糖鎖付加部位の存在が、タンパク質の不溶化と大きく関係している可能性が示唆された。また、前年度作成した変異型vvMLPについては、様々な大腸菌株やシャペロン発現系などを組み合わせ、可溶性画分にタンパク質を得ることを試みた。その結果、一定条件において二量体化したvvMLPが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、vvMLPとミラクリンのキメラタンパク質の作成、および前年度作成した変異型vvMLPの発現条件検討を進めた。キメラタンパク質作成においては、二量体化にはこだわらず、タンパク質全長にわたって数多くの可溶性キメラタンパク質の取得を試みた。その結果、ミラクリンにおける糖鎖付加部位の存在が、タンパク質の不溶化と大きく関係している可能性が示唆された。大腸菌で発現させたミラクリンは一般に不溶化することが知られているが、その原因となる領域が特定されたことは本研究の成果であると考える。 前年度作成した変異型vvMLPについては、様々な大腸菌株やシャペロン発現系などを組み合わせ、可溶性画分にタンパク質を得ることを試みた。その結果、一定条件において二量体化したvvMLPが得られることが確認されたが、タンパク質の大量生産には至っておらず、一定量以上のタンパク質が必要となる味覚修飾活性等の解析は行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のミラクリン-vvMLPキメラタンパク質作成により、ミラクリンの糖鎖付加部位が不溶化に大きく関与することが示唆された。そこで、ミラクリン分子の糖鎖付加部位付近への部位特異的変異導入を行うことにより、可溶化ミラクリン変異体の作成を試みる。 また、二量体化する変異型vvMLPの大腸菌における大量生産系を確立し、味覚修飾活性等の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はミラクリン-MLPキメラタンパク質の構造解析を計画していたが、現時点では可溶性キメラタンパク質が必要量得られていないため、まだ解析に至っておらず、その分の計画の遅れが予算執行の遅れにつながっている。この実験を次年度に行う際に残額を使用する予定である。
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