2016 Fiscal Year Research-status Report
フィトエストロゲン代謝菌の機能性に及ぼす植物性乳酸菌の影響の解明
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15K07450
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田村 基 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品健康機能研究領域, 主席研究員 (70353943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 博之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品安全研究領域, 上級研究員 (30308192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イソフラボン / 乳酸菌 / エコール / ゲニステイン / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
6週齢ICRメスマウスをAIN93Mで一週間予備飼育後、マウスを7匹ずつ二群に分け、イソフラボン0.03%を含む試験食を給餌した。試験食は解剖日まで、28日間給餌した。漬物由来乳酸菌投与群には、あらかじめ2%NaCl-1%CaCO3添加MRS培地で24時間培養した漬物由来乳酸菌Komb-19株を一日一回生理食塩水に懸濁し、マウス一匹あたり0.2mLを経口投与した。対照群には、マウス一匹あたり0.2mLの生理食塩水を経口投与した。経口投与は解剖前までは11日間連続で行った。解剖一週間前には全てのマウスを代謝ケージに移し、飼育試験を継続した。解剖前日から採尿を行った。代謝ケージ飼育期間中の糞便を全て採取した。解剖時にマウスを解剖し、心臓より採血を行った。内臓脂肪重量を測定し、肝臓重量を測定し、-80℃に肝臓をストックした。盲腸内容物と血液を採取し、盲腸内容物重量を測定した。血液から血漿を分離し、盲腸内容物と血漿は-80℃にストックした。尿中イソフラボン類排泄量を測定したところ、乳酸菌投与群でゲニステイン排泄量が有意に低値を示した。エコールやジヒドロダイゼイン排泄量には有意な差は認められなかった。漬物乳酸菌の投与がゲニステインのバイオアベイラビリティーを低下させる可能性が示唆された。解剖4日前の新鮮糞便を採取し、糞便の乳酸菌の菌数を測定したところ、糞便グラム当たりの乳酸菌数は、漬物乳酸菌投与群で高い傾向が認められた(P=0.083)。漬物乳酸菌投与はマウス糞便の乳酸菌数を増加する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroでエコール産生菌のエコール産生に影響を及ぼす漬物由来の乳酸菌を見出したことは、当初の研究計画の目標の一部を達成したことになるため、これまでの研究は当初の計画に従って進んでいる。また、漬物由来の乳酸菌をマウスに経口投与し、乳酸菌非投与マウスとでイソフラボン類の尿中代謝物を比較検討できたので、当初の計画の目標を達成している。今回の試験では、漬物由来乳酸菌がイソフラボン添加食を与えたマウスのゲニステインの代謝・吸収に影響を及ぼす結果を得られている。イソフラボン添加食の給餌期間が違っても今回のような結果が出るかは不明である。また、他の漬物由来の乳酸菌でも今回のような結果を得られるかも不明である。追加の動物試験を行い、乳酸菌のイソフラボン代謝に及ぼす影響を検討する必要があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroでエコール産生菌のエコール産生に影響を及ぼす漬物由来の乳酸菌を見出したが、この乳酸菌をイソフラボン添加食を与えたマウスに投与した場合に、乳酸菌非投与群と比べてエコール産生性を向上することは無かった。しかし、一種類の乳酸菌だけで漬物由来乳酸菌の機能性を論ずることはできないため、今回の動物試験と同様にマウスにイソフラボン添加食を与えて、乳酸菌の種類を変えてもう一度乳酸菌投与試験を行う必要があると考えられる。また、エコール産生菌と乳酸菌を同時にマウスに投与した場合、イソフラボン代謝性が非投与マウス比べてどのように変動するのかについても検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、イソフラボン分析必要なHPLCカラム等の購入に充てる予定である。また、HPLC分析に必須の移動相に用いる試薬の購入も行う予定である。
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