2017 Fiscal Year Annual Research Report
A food preservation technology and the action mechanism analysis using ethanol with an antibacterial peptide "nisin"
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15K07460
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川井 泰 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00261496)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗菌ペプチド / エタノール / ナイシン / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで申請者は、食品添加物であるナイシン(乳酸菌由来の抗菌ペプチド)が、単独では抗菌効果の無い大腸菌に対して、エタノールとの併用により高い殺菌相乗効果を示すことを明らかにしてきた。そこで本研究では、エタノール・ナイシン溶液の有効濃度と各種細菌に対する殺菌効果、および作用機構を調べ、一般家庭から食品産業、医療現場までに有効かつ実用可能な抗菌剤の開発を試みることとした。 本申請研究1年目および2年目では、エタノール中でナイシンが速やかに大腸菌に付着すること、4℃下で本溶液の抗菌活性が長期間で維持されることを見出した。また最終年度では、発酵食品で重要な役割を担う一方で一部の食品では汚染原因菌でもあるグラム陽性の乳酸菌(ナイシン生産・耐性株、および抗菌ペプチド生産性のガセリ菌株)、および食肉表面菌に対するエタノール・ナイシン溶液の抗菌効果について検討を試みた。 その結果、エタノール単独、ナイシン単独では抗菌効果を示さなかった各乳酸菌株に対して、エタノール・ナイシン溶液の高い相乗抗菌効果と感作直後からのナイシン菌体付着性が確認された。次いで、市販食肉(牛、豚、および鶏)に70%、80%エタノール・ナイシン溶液を噴射したところ、エタノール単独で抗菌効果は無かったが、ナイシン添加により各食肉に対する高い抗菌効果が認められた。また、鶏ささみ肉を同エタノール・ナイシン溶液に浸漬した結果、エタノール単独の30秒感作でも食肉表面菌の減少率は90%に達しなかったが、エタノール・ナイシン溶液では100%の減少率が得られた。 以上の結果から、エタノール・ナイシン溶液は食肉表面菌をはじめとするグラム陽性・陰性菌に対して高い抗菌作用を示すことが明らかとなり、その簡便性から食肉、調理器具、さらには医療機材等の低コストで有用な抗菌剤(抗菌スプレーおよび浸漬剤)としての利用性が期待される。
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Research Products
(6 results)