2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07477
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
加藤 正吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20324288)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 半寄生植物 / ツクバネ / 分布関数 / 排他的分布 / 相対光量子束密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
ツブラジイ林(岐阜市金華山)に30m×30mの調査区を設けた。半寄生植物ツクバネと上木の毎木調査を行った。ツクバネは萌芽によって株立ちするため、地際から分かれているものを幹、幹同士が目視で連結しているとみなした複数の幹を個体とした。ツクバネは、樹幹長30cm以上または樹高10cm以上の幹について、根元直径、樹高、樹幹長、立木位置を測定した。また、開花幹については、雌雄の判別を行った。上木は樹幹長2m以上かつ胸高直径1cm以上の個体を対象として樹種を記録し、DBHを測定した。下層の相対光量子束密度を曇天時に地上高2m、調査区の2.5m間隔の格子169点で測定した。
調査区には306幹、105個体のツクバネが分布していた。雄株に比べ雌株の樹幹長は短い傾向があった。分布関数を用いて立木位置を解析したところ、ツクバネは集中分布しており、雄株、雌株とも同所的に集中分布していた。ツクバネの分布には全上木の分布との間に同所性はなく、樹種によっても同所性のあるものは確認されなかった。また、上木のサイズクラスによっても、同所性のあるサイズは存在しなかった。相対光量子束密度でツクバネの分布を解析したところ、ツクバネは明るい場所に偏って分布していた。
ツクバネは明るい場所に局所的に独占分布しており、競争関係にある下層の他樹種をツクバネが衰弱枯死させる、あるいは、寄生しなければ下層木として生存が困難な立地環境にツクバネが分布していることが示唆される結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ツクバネの空間分布に関する調査については研究計画より進展しているが、ツクバネのホスト樹種のDNAバーコーディングによる特定作業に遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ツクバネの根の掘削作業を進め、ホスト樹種特定のための根のサンプリングを行う。
|
Causes of Carryover |
遺伝情報の解析は、試薬を無駄にしないため、充分なサンプルが集まってから解析するが、充分なサンプルが集まっていないため、試薬購入費の未使用が差額として生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプルをより確実に採取し、DNAバーコーディングによりホスト樹種の特定を行う試薬購入等の購入に費用を充てる計画である。
|