2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07477
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
加藤 正吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20324288)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 半寄生植物 / ツクバネ / DNAバーコーディング / ホスト選好性 / 光環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、新たにツクバネのホスト選好性を明らかにするためのヒノキ・ツブラジイ林調査地(岐阜市石谷)を設けた。調査地内の3地点から、土壌ブロック(30cm×30cm×10cm)を切り出し、ブロック内に含まれるツクバネの根の寄生箇所やホスト根の直径を調べた。また、根のホスト樹種またはホスト候補木樹種を、根の試料からDNAのmatKとrbcL領域を用いて、DNAバーコーディングの手法により特定した。
ツクバネは、細い根により多く寄生しており、ホスト候補木の細根の重要性が示唆された。DNAバーコーディングの結果、一部樹種が特定できなかったホスト根があったが、ホスト樹種はツブラジイとヒノキで90%以上を占めていた。ホスト樹種とホスト候補木の重量や表面積から、ツクバネのホスト選好性を検討した結果、ヒノキとツブラジイへの寄生に関してホスト選好性は認められないという結果を得た。次年度に採取する土壌ブロックを増やし、選好性の有無をより正確なものにしたい。
昨年度のツブラジイ林(岐阜市金華山)の追加調査として、ツクバネの空間分布に対する光環境の影響をさらに評価するための全天写真撮影を行った。現在、直射光が空間分布に与える影響について解析を行っている。また、ツクバネ分布地には他樹種下層木が少ないことから、種子発芽によるツクバネの根のアレロパシー試験をおこなった。オニグルミと比較してアレロパシーの存在は極めて小さいか、無いと考えられる結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ツクバネの空間分布の調査、DNAバーコーディングによるホスト選好性の解析、野外での果実散布距離のデータの収集はきわめて順調である。しかしながら、風洞による果実上昇試験において果実の回転が安定しないケースがあるため、実験の安定性や再現性を高める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAバーコーディングによるホスト選好性の解析のためのサンプル数を増やし、ホスト選好性の有無についての結果をより確実なものにする。
風洞による果実上昇試験における安定性や再現性を高めるため、風洞のサイズ、風量等の改良を行う。
ツクバネが、他樹種下層木の成長に与える影響を評価することが可能かを毎木調査や成長量調査から検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた解析の一部を、関係研究室の既存の試薬を用いて行ったため、現時点での解析に用いた使用額の残余が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、解析サンプル数が増加するため、DNAバーコーディングのための試薬の購入、DNA解析委託費として使用する計画である。
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