2016 Fiscal Year Research-status Report
ナラ枯れに注目した菌床シイタケ害虫ナガマドキノコバエ類の生態解明と外来仮説の検証
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15K07491
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
末吉 昌宏 国立研究開発法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (80435586)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 栽培施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナガマドキノコバエ類(以下ナガマド類)による菌床シイタケ被害の防除に役立てる上で、野外でのナガマド類の分布状況と生息環境を明らかにし、その知見を利用することが肝要となる。そこで、国内外のナラ枯れ被害木を主な対象として栽培シイタケ害虫種フタマタナガマドキノコバエ(以下フタマタ)Neoepmheria bifurcata Sueyoshi, 2014 とリュウコツナガマドキノコバエ(以下リュウコツ)N. carinata Sueyoshi, 2014 の在不在を調査した。国内のナラ枯れ被害地を含む 1 府 10 県(栃木県、愛知県、三重県、京都府、奈良県、鳥取県、兵庫県、山口県、高知県、大分県、佐賀県)で調査を行い、捕虫網を使った成虫の採集と落枝の観察による幼虫・蛹の採集を行った。その結果、害虫種であるフタマタを含む 4 種を採集した。フタマタの成虫が採集された環境は、スギ人工林内の作業道の法面植生とナラ枯れ被害地の渓流沿いの下層植生であった。また、渓流沿いの腐朽木(ヤマフジのつる)下面の窪みでフタマタの蛹を採集した。これらナガマド類が捕獲される時刻は午後 3 時以降であった。栽培施設で発生するナガマド類の日周活動は薄明薄暮であることが知られており、野外での活動も同様であることが示唆された。 韓国の 5 か所の菌床シイタケ栽培施設を訪問し、内 2 か所で害虫種リュウコツの成虫と幼虫を採集した。中国の 3 か所の菌床シイタケ施設を訪問し、内 1 か所でナガマド類が発生しているとの情報を得た。国内のみならず、韓国の栽培施設でもリュウコツが発生していることを確認した。国内外の山林内でのリュウコツの分布はまだ確認されていない。したがって、国内各地の菌床シイタケ栽培施設で発生しているリュウコツの由来は不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
害虫種の野外での生息場所を特定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
幼虫を得ることのできた調査地で定期的・定量的な調査を行い、害虫種の生息微環境を明らかにする。中国・韓国の調査地で採集を行い、国内の加害虫の分布の有無を明らかにする。
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Causes of Carryover |
海外旅費が予定よりも高額となる見込みだったため、前倒し支払いを申請したが、執行額が見込みよりも少なくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外旅費として使用する予定である。
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