2015 Fiscal Year Research-status Report
サクラを加害する侵略的外来種カミキリムシの樹木非侵襲的検出手法の確立
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15K07500
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
加賀谷 悦子 国立研究開発法人 森林総合研究所, 企画部, 室長 (70353729)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 侵略的外来種 / Aromia bungii / サクラ / モモ / バラ科 / カミキリムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
埼玉県にてクビアカツヤカミキリAromia bungiiのフラスを、サクラの開花時期直後(4月)と成虫脱出時期(6月)に採集した。4月のフラスは、排糞孔付近にまだ目立たない量しかなかったので、鮮度の違うフラスは採集せず、研究計画で予定した1)鮮度の高いフラス、2)排糞孔付近のフラス、3)地面に堆積したフラスの鮮度ごとの採集は6月のみ行った。また、伐倒した被害木から、6-8月に脱出した本種成虫を用いてDNAサンプルを抽出した。 コスカシバの成虫の採集を試みたが、採集できず、採集したオオスカシバ等の近縁種からDNAサンプルを抽出した。東京、埼玉、茨城からコスカシバの幼虫の排出したフラスを採集した。冬に樹皮下に生息していたコスカシバと推定される幼虫(形態からは未同定)を採集し、DNAサンプルを抽出した。 本種の新被害地が栃木、東京、大阪、徳島の各都府県で発見された。新規被害地の自治体と連絡をとり、被害状況の情報を収集した。前者の3都府県はサクラ・ウメの被害、徳島はモモの果樹被害だった。栃木の被害地(館林市)で、被害状況の調査をした。その結果、栃木の被害地では既知の被害地に比較して被害範囲が広く、侵入直後の状況ではないことが判明した。多くの被害木が認められたが、完全に枯死した木はなく、そのことが行政をはじめ被害の検知の遅れにつながったものと考えられる。 栃木の被害と東京の被害をとりまとめ、防疫の研究者と実務担当者の読者の多い、「植物防疫」誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNA解析に遅れが見られるが、本種被害の探索や情報収集については予想を超えて進展したため、やや遅れていると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
安定してフラスから遺伝子を抽出できるように、抽出条件の最適化を進め、また、コスカシバの個体間の変異も解析できるように、採集地点数を増やすことを計画している。
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Causes of Carryover |
遺伝子実験の本格的な着手に至らなかったため、解析を実施する予算が未使用となった。また、他の職務での出張とかねて採集を進めたため、本課題で計上した旅費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実施できなかったDNA解析を行った上で、H28年度の計画を遂行する。旅費については、新規被害地の調査を含め使用する。
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Research Products
(1 results)