2017 Fiscal Year Annual Research Report
Role of non-cellulosic polysaccharides in tension wood formation
Project/Area Number |
15K07511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粟野 達也 京都大学, 農学研究科, 助教 (40324660)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 引張あて材 / 成長応力 / ペクチン / ラムノガラクツロナンI / G層 / ユリノキ |
Outline of Annual Research Achievements |
G層を形成しないユリノキを用いて人為的傾斜により引張あて材を誘導した。傾斜木の傾斜上側で-0.20%から-0.18%の成長応力解放ひずみが観測されたことから、傾斜上側に大きな引張応力が生じていたことがわかった。しかし、その値はG層を形成する樹種よりも低かった。 あて材では正常材に比べてマンナン、ガラクトマンナン、アセチル化グルコマンナン、アセチル化ガラクトマンナンなどのマンナン系多糖類の標識が顕著に減少し、キシランの標識も減少していた。また、ラムノガラクツロナンIの標識が分化後期段階の木部繊維のS2層内側で見られ、正常材よりも増加していた。ガラクタンの標識は分化後期段階の木部繊維二次壁でわずかに現れたのみであり、G層を形成するポプラあて材とは異なっていた。オポジット材では正常材に比べて全体的にアラビノガラクタン、アラビノガラクタンプロテインの標識が顕著に減少していた。またマンナン、ガラクトマンナンの標識が正常材に比べて増加していた。また オポジット材はあて材の比較対象(コントロール)として扱われることもあったが、非セルロース性多糖類の免疫局在に正常材とは異なる特徴が見られたことから、コントロールとして用いるのは適当ではないと考えられる。 引張あて材では、G層形成の有無に関わらずキシラン、マンナンなどの二次壁性ヘミセルロースが減少する一方で、ラムノガラクツロナンIなどのペクチン性多糖類が増加すること、ガラクタンはG層を形成しないユリノキではあまり検出されなかったことから、引張応力の発生には二次壁性ヘミセルロースの減少とラムノガラクツロナンIの増加が関与している可能性が示唆された。G層を形成するポプラでは上記に加えてガラクタンの堆積が引張応力のさらなる発生に関与している可能性がある。
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