2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07514
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
会見 忠則 鳥取大学, 農学部, 教授 (90264928)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ピルビン酸脱水素酵素 / アルコール脱水素酵素 / アルデヒド脱水素酵素 / エタノール / 遺伝子発現 / 芳香族化合物 / マンニトール-1- リン酸デヒドロゲナーゼ / ナメコ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27 年度においては,主に,アルコール生産の鍵酵素となる,①ピルビン酸脱炭酸酵素,②アルコール脱水素酵素,③アルデヒド脱水素酵素の各遺伝子の同定とその発現解析を行うことで,「きのこは,なぜアルコール発酵できないのか?」 という疑問に対する回答を得ることにした.まず,本研究では,ナメコでの2 つのアルコール脱水素酵素(Adh),8 つのアルデヒド脱水素酵素(Aldh)と2 つのマンニトール-1- リン酸脱水素酵素(Mpd)遺伝子の発現を分析した結果,Aldh1, 2, 3, Adh1, 2,及びMpd1,2 の転写は,1 mMのエタノールの存在下の液体培養において全く影響を受けなかった.しかし,Mpd1 の発現はアセトアルデヒドで促進されたことから,したがって,Mpd1 は,エタノール生産のためのアルコール脱水素酵素の候補である.また,ピルビン酸脱水素酵素(PDC)遺伝子は,弱いながら常に発現していた.以上のことから,ナメコをアルコール発酵できるように改変していくためには,主にアルコール脱水素酵素の発現量と基質特異性の違い及びピルビン酸脱水素酵素の発現量の少なさにあることと推察された.一方,Aldh1 とAdh2 の転写は,3 mMのベラトリルアルコールの存在で促進された.したがって,Aldh1 とAdh2 の役割は,エタノール代謝から,芳香族化合物の分解に進化した可能性があると考えられた.さらに,Adh1,Mpd1,Mpd2 とAldh1 の転写は菌糸より原基および子実体で高かった.この現象はAdh1,Mpd1,Mpd2 とAldh1 の応答は子実体形成中に酸化ストレスが存在することを示唆していた.以上の結果は,アルデヒド脱水素酵素が,エタノール分解に関与しないことを示唆しており,分解活性はエタノール蓄積に影響していないことが推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルコール代謝関連遺伝子について,ほぼ,網羅的に遺伝子発現の解析を行うことができ,ナメコがアルコールを蓄積することが出来ないのは,分解活性が高い訳ではなく,ピルビン酸からアセトアルデヒドのへの代謝,及び,アセトアルデヒドからエタノールへの代謝(変換)の活性が弱い,または,全く失われていることが原因であることが解った.その原因としては,おそらく,進化の過程で,木材腐朽性のきのこは低級アルコールよりもむしろ,リグニン等の芳香族環をもつ物質の代謝に適する様に進化したためだということが推察され,来年度に向けての育種目標が,明確になった. また,ここまでの成果は,日本きのこ学会誌に原著論文として掲載予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27 年度の成果から,ピルビン酸脱炭酸酵素活性とアルコール脱水素酵素活性の増強を如何に行うか?が,平成28年度以降の研究における育種目標として明確になった.そこで,平成28年度は,ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子とアルコール脱水素酵素遺伝子をナメコ細胞に導入した菌株の作出を試みると共に,突然変異誘発によるエタノール高生産性菌株の育種を試みることにする.
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Research Products
(1 results)