2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K07520
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
松永 正弘 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 敦子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00353574)
片岡 厚 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353639)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / アセチル化 / 無水酢酸 / VOC / 臭い |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、液相法及び気相法でアセチル化した試片を用いて無水酢酸の放散量低減に適した処理条件の絞り込みを行ったことから、今年度は超臨界二酸化炭素中でアセチル化処理した試片に対してその処理条件を適用し、放散量低減の効果を検証した。スギ心材試片の入った反応容器に超臨界二酸化炭素及び無水酢酸を注入し、120℃/10MPaの処理条件で8時間のアセチル化処理を行った。処理後、試片から放散する無水酢酸をDNPHカートリッジに吸着させ、HPLCで分析して低減処理前の無水酢酸放散量を測定した。続いて、放散量低減処理として試片を40℃/10MPaの超臨界二酸化炭素中で6時間バッチ処理し、一晩ドラフト内で放置してから無水酢酸放散量を測定した。その後、試片は室内に静置され、10日後及び40日後の放散量を測定した。 実験の結果、低減処理によって無水酢酸放散量は処理直後で45%削減された。10日後及び40日後の放散量も未処理材と比較してそれぞれ27%、22%の削減となり、超臨界二酸化炭素中でアセチル化した木材に対しても有効であることが明らかとなった。 次に、超臨界二酸化炭素中でアセチル化処理した後、すぐさま連続して放散量低減処理を行い、連続処理の有効性について検証した。その結果、連続処理で製造されたアセチル化試片の40日後の無水酢酸放散量は、連続せずに低減処理を行った試片と比較してさらに16%の削減となった。また、低減処理を行わずに超臨界中または液相中でアセチル化した試片と比較すると、その放散量はそれぞれ34%、58%削減された。以上の結果から、超臨界二酸化炭素を用いることで、1バッチ処理でアセチル化から低減処理まで連続して行えることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高い浸透・拡散力を持つ超臨界二酸化炭素を用い、アセチル化木材から放出される酢酸臭を低減させる最適処理条件を検討し、木材のアセチル化から酢酸臭の除去まで、一連の処理を超臨界二酸化炭素中で行う方法を確立することを達成目標としている。今年度は前年度までに得られた成果に基づいて実験を行い、1バッチ処理でアセチル化から低減処理まで超臨界二酸化炭素中で連続して行えることを明らかにした。このように、研究は当初の予定通りに進行しており、問題点は特にない。
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Strategy for Future Research Activity |
放散量低減処理を施したアセチル化木材と未処理のアセチル化木材との残留試薬量を比較したところ、特に液相法によるアセチル化木材では当初の想定以上に除去されることが示唆され、本処理の適用によって長期間の酢酸臭放散が抑制できる可能性が示された。当初想定していなかった成果が得られたことから、研究期間を1年延長してさらに長期間の放散量測定を行い、本処理の長期にわたる有効性を評価すると共に、試薬の大量除去が寸法安定性や耐朽性に及ぼす影響を検証する。
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Causes of Carryover |
(理由) 消耗品を定価で購入する計画を立てて予算の執行を行ったところ、納入価格との差額が生じ、結果として次年度使用額が生じた。 (使用計画) アセチル化木材から放散される無水酢酸の捕集に必要なサンプリングバッグや、サンプリングバッグに回収された大気中に含まれる無水酢酸を吸着させるために必要な吸着カートリッジ、超臨界処理やHPLC分析に必要な薬品等消耗品類、得られた成果を学会等で発表するための旅費、実験補助員の賃金などに使用する計画である。
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Research Products
(3 results)