2017 Fiscal Year Research-status Report
磯焼け域に生息する表在性巻貝類を利用した海藻シードバンクの検出
Project/Area Number |
15K07525
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
藤田 大介 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70361813)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ユキノカサガイ / シードバンク / 潜在的植生 / 磯焼け / 遺伝子解析 / メタゲノム解析 / 培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
女川町指ケ浜地先で昨年12月にユキノカサガイを採集し同様の解析を準備していたが,Roche454の関連サービスが打ち切られ使用できなくなったため,新たにMiseqによる分析を委託にて行った。 その結果,解析対象のうち,褐藻は937217配列,190OTU,紅藻は1121058配列,217OTUが得られた。褐藻の中で99%以上の相同性を持ち単一種まで落とせるものは36OTU(全OTUの中の約19%),紅藻では46OTU(全OUTの中の約21%)となった。このことから,rbcL遺伝子配列約440bpを使用することで褐藻,紅藻の約20%を種レベルまで同定できることがわかった。 地点毎,季節ごとの褐藻+紅藻のOTU数を比べると,砕波帯夏(6サンプル)で112,砕波帯冬(6サンプル)で97,残藻帯夏(5サンプル)で97,残藻帯冬で(5サンプル)139,磯焼け帯夏(6サンプル)132,磯焼け帯冬(6サンプル)で115,冠砂帯夏(6サンプル)で158,冠砂帯冬(6サンプル)で138,垂水(1サンプル)で58となり,残藻帯を除き,夏のサンプルのOUT数が多くなった。 培養によるユキノカサガイ殻の潜在的植生の検出に関しては,調査域近傍のワカメ場から採集した貝からはワカメが検出されること,小型巻貝を同居させた場合には著しく殻上のコンブやワカメが減少することを確かめた。 また,ユキノカサガイの生殖腺重量比が10月頃にピークがあり秋が成熟期であること,また殻径組成(3~40mm以上)の解析から,1齢で15mm,2齢で20mm,3齢で29mm,4齢で37mmとなり,現 地では3~4齢の貝が卓越していることが判明した。これらの卓越するサイズの貝を利用することにより,数年間に着生した海藻の胞子・遊走子が検出されうることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本の海藻シードバンクを検出する研究は,女川町指ケ浜の一連の調査で順調に進行してきたが,時期を変えて採集したユキノカサガイのメタゲノム解析を行う準備を進めていたところ,Roche454の関連サービスが打ち切られ使用できなくなったため,新たにMiseqによる分析委託の必要が生じ,西日本の海藻シードバンク検出のための大分県佐伯市におけるギンタカハマ採集・分析(原案においても副次的で,昨年度は海域での分布調査のみ実施した)を行うことができなくなった。これらのことから,論文執筆,成果普及が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなるデータ整理と論文執筆および調査手法の普及啓蒙のためのマニュアル作成を行う。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析におけるRoche454の関連サービスが打ち切られ使用できなくなったため,新たにMiseqによる分析委託の必要が生じ,西日本の海藻シードバンク検出のための大分県佐伯市におけるギンタカハマ採集・分析2を行うことができなくなるとともに,論文執筆,成果普及が遅れた。このため,研究期間を1年延長したので,遅れた論文執筆と普及資料の作成を行い,その論文校閲・投稿料に使用する。
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