2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07532
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
眞家 永光 北里大学, 獣医学部, 講師 (00453514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 潤 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30285241)
柿野 亘 北里大学, 獣医学部, 講師 (10623936)
丹治 肇 北里大学, 獣医学部, 教授 (50414446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 物質循環 / 植物プランクトン組成 / 水質 / 小川原湖 |
Outline of Annual Research Achievements |
小川原湖の水質の水平分布,鉛直分布をモニタリングすることにより,温暖化に伴う冬季の湖面結氷状態の変化や極端な気象の増加が小川原湖の水質に与える影響について理解を深めることができた.つまり,2循環湖の時には窒素,リン濃度は表層において4月から5月に最大となり夏にかけて減少するが,1循環湖になると夏期に最大値を示すようになった.また,例年だと流入河川の多い南部でリン濃度が高いが,ここ2年は北部で高い値を示し,その理由として鉛直循環の規模が大きくなったため,多量の栄養塩が深層から供給されたためと考えられた.これらの養分循環の変化は,微生物群集に影響を与えると推察された.台風のような極端な気象があると,湖水が大きく鉛直混合され,深部の窒素,リンが表層に移動し,湖沼から流出すること,そのため,特に湖水中の全リン量が減少することが示された. 溶存有機物(DOM)の濃度は季節的に大きな変動を示さなかったものの,季節的な起源の変化に伴う組成の変化が見られた.つまり,4月から7月にかけては微生物由来のDOMが多くなるが,8月以降は陸域由来のDOMが多くなった. 植物プランクトン組成の空間的・時間的変動を顕鏡法より明らかにした.ラン藻の種組成は,空間的にはあまり違いがないが,時期的に大きく変動することを遺伝子レベルで示した.また,2-MIB産生遺伝子を持つ微生物群集の構造も,季節的に変化するを示した.さらに,小川原湖水中の数種の糸状ラン藻を単離培養することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小川原湖の水質モニタリングが月に1度の頻度で滞りなく進行中であり,水質に関するデータが蓄積されつつある.糸状藍藻類の発生と水質の間に有力な関連が認められつつあり,今後解析を進めることによってより明らかにできると考えられる. 湖水中のラン藻類の種組成が季節的に変化すること,異臭物質である2-MIBを生産する遺伝子を持つラン藻類も季節的な消長が見られることを,遺伝子レベルで明らかにできており,次年度は,種の特定につなげることができると予想できる.植物プランクトンサンプルも順調に蓄積中である.小川原湖水中の糸状藍藻類の単離培養に成功しており,性質の解明が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
小川原湖の水質モニタリングを継続して行い,糸状藍藻類が発生する要因をフィールドレベルで予測する.ラン藻類の種組成の空間的・時間的変化を遺伝子レベルで明らかにする.また,2-MIBを産生する糸状藍藻類の増加に関する因子を,培養実験により明らかにする.さらに,小川原湖に存在する糸状藍藻類を同定し,その特性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
糸状藍藻類の遺伝子分析を次年度に変更したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
単離培養した糸状藍藻類の遺伝子分析の委託費用
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Research Products
(1 results)