2017 Fiscal Year Annual Research Report
Did salvage barges tasked to reconstruct divastated Tohoku areas by 2011 GEJA disturbed biodivesities in the northeast coast of Japan?
Project/Area Number |
15K07533
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加戸 隆介 北里大学, 海洋生命科学部, 名誉教授 (40161137)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナンオウフジツボ / 外来種 / 分布拡大 / 震災 / 競合 / 捕食者 / 生物地理区 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.国内における新規外来種ナンオウフジツボの分布域: 本外来種の移入元と推定される韓国東岸に近い対馬(厳原港、比田勝港などを含む島内18漁港))および福岡県北部(博多湾博多埠頭、今津湾小戸港)においてビデオ撮影機器を用いて岸壁付着生物相調査を実施した結果、厳原港、比田勝港、博多港埠頭などの韓国釜山からの定期フェリーが就航している港においてさえも本種の生息は確認できなかった。また、日本海側での分布南限に関わる調査を若狭湾(敦賀港、手漁港、美浜町丹生、世久見漁港、小浜、泊漁港、高浜漁港)、舞鶴湾(東港漁港)についても生息は確認されなかった。一方、八戸付近(えびす漁港、種差漁港、大久喜港)で揚陸物を調査した結果、本種の存在を確認した。 以上の調査結果より、本種の分布の北限南限は、奥尻ー富山湾(日本海側)、八戸ー志津川湾(太平洋側)であると推定された。 2. 岩手県におけるナンオウフジツボの分布の現状:越喜来湾の調査地点では本種を捕食するキタムラサキウニ、肉食性腹足類の存在によりその密度の増加はむしろ抑制されていた。一方、比較場所として選んだ大槌湾の調査地点(赤浜突堤)では、本種の密度は2015年に比べて密度が6倍程度に増加していた。この場所では、キタムラサキウニ、肉食性腹足類合わせても平米当たり6個体以下と少なく、キタアメリカフジツボ、イワフジツボとは付着水深を違えており、生息場所の競合は殆ど見られなかった。 本研究により、東日本大震災による港湾復興作業にともない非意図的に台船により東北沿岸にもたらされた本外来種は、その起源を日本海側の複数の港湾に由来し、現在では分布が北東北に限られ、潮下帯上部に定着して徐々に生息密度を上げつつあることが判明した。しかし、現分布は生物地理区(西村、1992)の暖温帯区には生息していないことを示しており、今後は本種の温度耐性を明らかにする必要がある。
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