2015 Fiscal Year Research-status Report
「タイマー遺伝子」発現量を指標とした鉢クラゲ発生条件の解明
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15K07539
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Research Institution | Japan Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
豊川 雅哉 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (60371837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エチゼンクラゲ / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子発現量の定量実験が行えることを確認するために、22度Cで飼育しているミズクラゲのポリプを10度Cに数日間おいて、RNAを抽出し、オリゴ(dT)セルロースを用いてmRNAを精製し、RNA濃度を測定した。複数回実験を試みたが、RNAを溶出した溶媒中にRNAが検出されなかった。このため、緩衝液を変えるなどして分析条件を検討中である。 エチゼンクラゲのポリプにホルモン様物質(5-メトキシ-2-メチルインドール)を投与し、変態を誘導した後、複数の水温条件下(22, 18, 10, 6度C)で変態の進行速度を測定した。22度Cでは2日、18度Cでは5日、10度Cでは13日、6度Cでは31日で、全てのポリプにおいて変態を視認できるようになった。同様の実験をミズクラゲについても10度C、6度Cで実施した。10度Cでは13日目までに全て、6度Cでは31日目までに半数のポリプにおいて、変態を視認できるようになった。 エチゼンクラゲのポリプにホルモン様物質を投与し、変態を誘導した後、22度Cで培養し、36時間後、72時間後にRNAを抽出した。変態を誘導しないポリプと変態が終了したクラゲについてもRNAを抽出した。抽出したRNAを沖縄科学技術大学院大学の共同研究者に送付し、次世代シーケンサーを用いた配列組成の分析を行った。得られた配列ごとのリード数を変態の進行段階により比較し、変態の進行中にリード数が多い配列を抜き出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3つの年度計画のうち、1番目の遺伝子発現量の定量実験は、mRNAの抽出精製、および逆転写リアルタイムPCR法の分析条件を検討中であるが、いずれも満足な結果が得られていないため。2番目と3番目に関してはほぼ予定通り進行しているので、(3)やや遅れているを選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施に至らなかった遺伝子発現量の定量実験について、さらに実験条件の検討を進めるとともに、どうしてもうまくいかない場合は、共同研究機関に滞在して分析を実施するなど、善後策を講じる。 エチゼンクラゲのタイマー遺伝子、またはその代替となる遺伝子を特定する。 クラゲ発生モデルを構築し、27年度に得られた実験結果を用いて水温と変態の進行速度に関するパラメーターを推定する。
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Causes of Carryover |
2、3月の賃金が予想よりも若干少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬代などとして消費する予定である。
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