2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K07543
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
青山 潤 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30343099)
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2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | イカナゴ属魚類 / 三陸沿岸 / 種判別 / 脊椎骨数 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
我が国の重要な水産資源であるイカナゴには、太平洋側で仙台湾を境界とした形態的、遺伝的に異なる2型の存在が示唆されていた。2015年の分類学的再検討により、これらは別種(Ammodytes japonicusおよびA. heian)として記載され、両種を混同していた地理分布を含む従来の生態学的知見の見直しが急務となっている。そこで本年度は以下を目標に研究を進めた。(1)両種の遺伝的、形態的分化程度を明らかにし、これらを簡便に識別する手法を開発する。(2) 東北沿岸を中心にサンプルを採集し、上記手法を用いて2種の分布の実態を明らかにする。(3) 両種のマイクロサテライトマーカーを単離し、鋭敏な遺伝的集団解析マーカーを作製する。(4) 各個体群について予備的な飼育実験を開始する。
それぞれについて得られた成果は以下の通り。(1) 全国各地より採集した標本を用いて2種の形態的差異を調べたところ、計28形質の比較によっても明瞭に識別できなかった。一方、ミトコンドリアDNAには大きな変異が認められたため、COI領域のRFLP解析による種判別法を作製した(論文投稿中)。(2) 愛知、福島、宮城、大槌で採集したサンプルの種組成を比較したところ、いずれの場所にも2種が出現するものの、北へいくほどA. heianの割合が増えることが明らかになった。さらに、既報の形態学的差違（脊椎骨数）は遺伝的に決まるわけではなく、環境によって決定される「ジョルダンの法則」の一例であることが明らかになった(論文投稿中)。(3)広島大学のグループが同様の研究を進めていることが明らかになったため、共同研究としてより大規模に展開することとし標本の提供を行った。(4) 飼育準備を整え、採集したサンプルを導入する予定だったが、荒天により調査を実施することができず、飼育試験を開始することができなかった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績欄に記載した通り、本年度の研究は順調に進んでいる。マイクロサテライトマーカーによる集団遺伝解析については、同じ研究を進めている広島大学と協働することとした。また飼育の予備試験は、予定していたサンプリングが荒天により中止となったため、実際に魚を入れるまで至っていない。これについては2016年度の早い段階（5-6月）で漁業者の協力を得て実施する運びとなっている。
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| Strategy for Future Research Activity |
マイクロサテライトマーカーの単離および集団解析を広島大学と協働としたこと。また、イカナゴ当歳魚の採集について漁業者の協力が得られることから、計画を前倒しして「大槌湾における夏眠場所の解明」に着手することとした。しかしながら、大槌湾における夏眠場所については基礎情報すらないため、最新の環境DNA技術を用いたアプローチを展開する予定である。
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| Causes of Carryover |
2015年度に予定していた夏眠魚調査用漁具の購入とマイクロサテライトマーカー開発のための費用を使用しなかったことが差額の原因である。前者については、震災以降の大槌湾内におけるイカナゴ夏眠場所に関する情報がなく、仙台湾で使用している調査漁具の有効性を確認できないため購入を中止した。後者は、主に西日本での研究を進めていた広島大学と協働することとしたため、本研究において独自にマーカーを開発する必要がなくなった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏眠魚調査については、2016年度より環境DNA技術を用いた基礎調査を開始する予定である。これにより夏眠場所のおおよその位置を推定し、漁具の使用が可能であると判断できれば購入を進める。一方、深度や周辺の海底地形などにより使用が困難と考えられた場合には、他の手段を模索する。集団解析については、計画よりも時空間的に密なサンプリングを行い、三陸周辺のみならず全国規模での大々的な解析を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)
