2016 Fiscal Year Research-status Report
ワクチン効果が低下した非定型レンサ球菌の出現と新規ワクチン開発に関する研究
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15K07554
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉田 照豊 宮崎大学, 農学部, 教授 (20240294)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Lactococus garvieae / 非凝集株 / ブリ / カンパチ / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 次世代シークエンサーによるゲノム情報の探索;強毒性の非定型レンサ球菌のゲノムデータを解読するために、次世代シークエンサーによるゲノム解読を継続した。病原性に関わる溶血性遺伝子(sagA)、 莢膜合成遺伝子群、Sortase等の病原性に関わる遺伝子等の探索を行い、毒性に関わる遺伝子群が確認できた。また、従来型の菌株との相違について検討した。その結果、両者を識別できる可能性がある領域を確認した。 2)PCRによる非定型レンサ球菌および定形レンサ球菌の識別法の開発;次世代シークエンサーによる、非定型レンサ球菌のゲノム情報と従来型レンサ球菌の遺伝子情報に基づき、両者の間において配列の異なる病原性に関わる遺伝子を明らかにした。その領域にプライマーを設計した。その結果、PCRにより非凝集株は1285bp、従来株は285bpの産物が確認できた。この開発したPCR診断を、論文としてまとめ各県の水産試験場において利用可能な方法として広報に努めた。 3)非定型レンサ球菌ワクチンの作成とその効果判定;非凝集株のホルマリン不活化ワクチンは、その効果と可能性が確認できた。よって、今回分離された非定型レンサ球菌の試作ワクチンを作成し、ブリおよびカンパチに免疫した。免疫したブリに従来型レンサ球菌および非定型レンサ球菌を用いて攻撃試験を行い、防御効果を明らかにし非定型レンサ球菌のワクチン開発の可能性を探索した。 4)非定型型レンサ球菌の疫学調査(継続);疫学調査を継続したところ、リンコマイシン耐性が増加していることが判明した。鹿児島県の分離菌株の多くは、既にリンコマイシン耐性になっていた。また、非凝集株はブリだけでなく、カンパチからも分離されていることが明らかとなり、養殖場において蔓延していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度と次年度の予定として、大まかに、全ゲノム解析による病原遺伝子等の探索、ゲノムデータを基にした非凝集株と凝集株の識別、PCR法による両者の鑑別、ワクチン試験および疫学調査の5項目をあげていた。それぞれの項目に関して、ある程度のデータを収集することができた。よっておおむね順調に進展していると判断した。特に、PCR診断による両者の識別を可能とする方法は、論文にすることができた。また各県の水産試験場においてこの手法は利用されており、十分な実績が得られたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の予定として、今年度と同様に、全ゲノム解析による病原遺伝子等の探索、ワクチン試験および疫学調査の3項目を上げている。特に、疫学調査の継続は行いたい。理由として、リンコマイシン耐性菌が出現して養殖場に蔓延しているからである。また、この耐性機構について、ゲノム解析を耐性菌および感受性菌との比較することで、明らかにしていきたいと考えている。また、カンパチにも診断件数が各県の水産試験場で増加しているために、他の魚種での感染例がないかを注意深く疫学調査を進めたい。
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Research Products
(1 results)