2015 Fiscal Year Research-status Report
琉球列島におけるシガテラ毒魚の年齢と成長が毒性に及ぼす影響評価
Project/Area Number |
15K07556
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
立原 一憲 琉球大学, 理学部, 准教授 (70264471)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バラフエダイ / シガテラ毒 / シガトキシン / 年齢と成長 / 琉球列島 / 宮古諸島 |
Outline of Annual Research Achievements |
シガテラ毒を有するバラフエダイLutjanus boharの耳石による年齢査定と成長を解析し、同時に各個体のシガテラ毒量を定量した。その結果、本種の年齢範囲は、雄2~68歳、雌1~79歳、性不明0~6歳であり、雌雄ともに20歳まで成長した後、成長がほぼ停滞した。最大到達体長は、雄がわずかに大きかったが、成長係数、始原成長係数、成長曲線に雌雄差はなかった。本種の成長曲線は以下の式で示された。 雄:Lt=625x(1-exp(-0.12x(t+1.09))) 雌:Lt=610x(1-exp(-0.11x(t+1.18))) 本種の最小成熟体長(年齢)は、雄378㎜(7歳)、雌357㎜(9歳)、50%成熟体長は、雄385㎜、雌464㎜であった。本種は、魚類、甲殻類、頭足類、貝類、多毛類を摂餌し、特に魚類の割合が著しく高かった(魚類の%N=75%、%F=73%)。 シガトキシンの定量を行った個体(N-124)の体調範囲は、260~675㎜、年齢範囲は3~79歳であった。検出された毒量は、0.000~0.647ng CTXIB eq./gで、無毒48%、弱毒13%、有毒34%、強毒4%であった。体長・体重・年齢と毒性の関係を見ると、大型個体ほど強毒や有毒個体が増加し、強毒は500㎜SL以上、4kg以上、20歳以上の個体にのみ出現した。 水揚げされた地域別にみると、有毒個体は多くの漁場に広く出現したのに対し、強毒個体は、宮古島周辺海域(池間と平良)に水揚げされたものに限定されていた。 今後、本種の漁場別餌生物を精査し、シガトキシンの含有量との関係を解析したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間で数種類のシガテラ毒魚の年齢と体長を明らかにし、各成長段階におけるシガトキシン含有量を解析する予定であったが、初年度でバラフエダイの解析がほぼ終了した。研究内容に一部は、すでに4回の学会報告をしており、順次執筆して投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、バラハタとオジロバラハタのサンプルを収集しており、次年度以降、これらの年齢と成長、食性、成熟期、シガテラ毒性を解析する予定である。また、市場で漁業者からコールタールと呼ばれ、シガテラ毒が強いと忌避されている体色黒化個体も、奄美から石垣に及ぶ広範囲からサンプルを集積中である。さらに、漁業者からの聞き取りで、”漁獲水深によりシガテラ毒の強さに差がある”という情報が得られたため、漁獲水深別のサンプルを収集し、解析する予定である。
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