2016 Fiscal Year Research-status Report
新たに植物油で発見した高密度ストレス解消作用によるサケ稚魚の健苗性向上技術の開発
Project/Area Number |
15K07564
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
水野 伸也 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 水産研究本部さけます・内水面水産試験場, 研究主査 (70442655)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サケ / 亜麻仁油 / 高密度ストレス / コルチゾル / 脳下垂体 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】亜麻仁油添加飼料の給餌が高密度飼育されたサケ稚魚のストレス応答関連因子に与える生理学的効果を調べた。 【方法】サケ稚魚(平均体重1.0 g)を1500尾ずつの2群(密度40 kg稚魚/m3飼育水:高密度)及び375尾ずつの2群(密度10 kg/m3:低密度)の合計4群に分け、それぞれ容積37.5Lの同型水槽に収容し、換水率3回/時で流水飼育を14日間行った。各密度につき、一方の群は配合飼料を給餌する対照群、もう一方の群は亜麻仁油を外割で1.8%添加した配合飼料を給餌する亜麻仁油群とした。飼育終了時、4群の稚魚に原虫が寄生していないことを確認した後、緩衝MS-222を用いて内因性コルチゾル上昇を阻止する麻酔をかけ、血液、脳及び脳下垂体を採取した。血液はコルチゾルの定量、脳はCRH及びHSP70遺伝子、脳下垂体はPOMC及びHSP70遺伝子の発現量解析に供した。全てのパラメーターについて、低密度対照群の値を正常値として有意差検定を行った。 【結果】低密度対照群に対して有意差を示した唯一の群は、高密度対照群であり、コルチゾル量、脳下垂体POMC及びHSP70遺伝子の発現量が高密度飼育により増加した。一方、この高密度の影響は、脳のパラメーターには認められなかった。亜麻仁油添加飼料給餌の効果は高密度のみにみられ、コルチゾル量、脳下垂体POMC及びHSP70遺伝子の発現量増加が亜麻仁油摂取により有意に抑えられた。以上の結果、高密度飼育がサケ稚魚のストレス応答に与える負の影響は、主に脳下垂体及び血中のパラメーターに現れ、亜麻仁油添加飼料の給餌は、この影響を緩和することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行上の問題は発生しておらず、当初の計画どおり進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり進捗しており、平成29年度の計画に変更はない。
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