2015 Fiscal Year Research-status Report
消化ホルモンCCKに着目した植物飼料の摂餌量低下要因の究明
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15K07579
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
益本 俊郎 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (10238917)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CCK / 摂餌応答 / 消化生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
養殖飼料の魚粉含有量の削減が求められる中で、魚粉を削減して大豆などの植物原料を多用した飼料では摂餌量が低下してしまうことが問題となっている。そこで魚がなぜ植物原料を含む飼料をあまり多く食べないのか。その作用機序を、脳で摂餌抑制作用を持つペプチドホルモンのコレシストキニン(CCK)に着目して調べる目的で研究を行っている。特に植物飼料はCCKの分泌を早めるのかについて今年度は集中的に研究を行ってきた。大豆主体の植物飼料または対照の動物飼料(植物原料を含まない魚粉主体の飼料)を試験魚に与え、給餌後の各組織から常法に基づき総RNAを抽出し、CCKの遺伝子発現量をリアルタイムPCR法によって定量した。その結果、大豆主体の植物飼料を摂取した魚は魚粉飼料を摂取した魚に比べ、CCKの遺伝子発現量が少なく予想とは対照的な結果となった。一方同じ組成の植物飼料であっても、嗜好性の違いによって胆嚢からの胆汁の分泌量に違いがある事がわかった。CCKは胆汁の分泌を促進する働きがあることから、嗜好性が悪い飼料では消化管におけるCCKの分泌が抑制されることが考えられた。このことは消化管におけるCCKの分泌と摂餌の抑制とには連携が無いことを示唆するものだと考えられた。また、植物飼料を摂取させ摂餌行動が停止した魚に対して、魚粉飼料を給与すると再度摂餌を開始することがわかった。もし、植物飼料中に存在する摂餌抑制因子が働いているのであれば、どんな飼料であっても摂餌を再開しないと考えられるので、植物飼料の摂取による摂餌量の減少は、摂餌抑制物質の存在ではなく、摂餌促進物質の欠如である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CCK濃度の結果について、再現性を確認するのにやや時間を費やしているが、おおむね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき研究を推進する。
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Causes of Carryover |
CCK測定系の再現性を次年度にわたり引き続き確認する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CCK測定キットの購入。
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