2016 Fiscal Year Research-status Report
消化ホルモンCCKに着目した植物飼料の摂餌量低下要因の究明
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15K07579
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
益本 俊郎 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (10238917)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 魚類栄養 / 養殖 / 摂餌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今までCCK遺伝子の発現量を目安に組織CCKの分泌応答を調べてきたが、実際の濃度変化については不明だった。また、CCKの抹消組織から血液を介した移動の実態を調べるには濃度測定が不可欠であった。そこで今年度は組織および血液のCCK濃度を測定を試みた。まず組織においては腸の前半部と中央部の濃度が摂餌から3時間の間に約50-60%低下したことから、CCKの分泌に伴う低下だと考えられ、今回の測定方法によってCCKが測定できていると判断された。また、これらの組織がブリのCCK分泌において重要な部位であることが明らかとなり、遺伝子の発現量の結果と一致した。一方、脳の全体を使ってCCK濃度を測定したところ、予想に反して濃度は上昇せずに減少していた。食欲調節センサーはごくわずかな脳の視床下部に存在しているので、特定部位の微小な変化が検出できなかった可能性が考えられた。今後は脳の各部位における摂餌前後のCCK濃度の測定をする必要がある。一方血液のCCK濃度は摂餌直後から3時間にかけてわずかに上昇するにとどまり、哺乳類で報告されているような大量で一過性の分泌ではなかった。もし大豆の摂餌によって停止するのがCCK分泌がきっかけとなるのであれば、血中CCK濃度は摂餌を停止した時に上昇するはずだが、そのような変動はみられなかった。脳の濃度測定については再調査が必要だが、今回の結果から摂餌を停止したにもかかわらず血中濃度が増加しなかったことから、消化管から血液を介したCCKの移動はない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摂餌に伴う消化管ホルモンCCKの分泌が、脳における摂餌調節に及ぼす影響を調べる目的で、消化管および血中CCK濃度を測定することができた。その結果、消化管で分泌された消化管ホルモンが血流を通して直接脳に達する可能性は少ないことがわかった。したがって、神経を介した伝達の可能性が考えられたため、外科的遮断試験または薬剤による神経の遮断を試みている。CCK受容体ブロッカーに対しては使用に際し、適切な濃度の決定を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
組織CCK濃度の測定をしたところ、摂餌に応答してCCKの組織濃度が低下したことから、摂餌に伴う消化管ホルモンCCKの分泌応答を感知することができたと判断した。一方脳においては、CCK濃度変化と摂餌応答との関連性が明らかにされていない。その理由の1つは、脳全体を抽出して濃度測定に供したためであると考えるので、次年度は脳を部位別に分画してから測定をする。また、消化管で分泌されたホルモンの情報がどのように脳に伝達するかを調べる。本年度の結果から、消化菅から分泌されたホルモンがそのまま脳に達する可能性は少ないと考えられた。そこで今後は、神経を外科的あるいは薬剤の投与による遮断することで、CCKの特異作用である摂餌抑制や胆嚢収縮などが発揮されなくなるかどうかを調べて、CCKの分泌情報が神経を介して脳に伝達するかどうかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度予算と合算して有効に使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬購入
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