2017 Fiscal Year Annual Research Report
Inflammatory responses of the abdominal adipose tissue in red sea bream Pagrus major
Project/Area Number |
15K07585
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 修 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (00306648)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マダイ / 脂肪組織 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の脂肪組織は多数の白血球を含む免疫器官であり、特に肥満の際には炎症反応を誘起して個体に様々な影響を及ぼすことが明らかになってきた。本研究は水産重要種であるマダイPagrus majorを対象として、腹腔脂肪組織の炎症反応を調べ、これまであまり調べられていなかった魚類脂肪組織の免疫器官としての特性を明らかにしようとするものである。 前年度までに、マダイ脂肪組織には哺乳類脂肪組織に匹敵する数の白血球が存在すること、また白血球中、マクロファージが最も多い哺乳類脂肪組織とは異なり、好酸性顆粒球が最も多いことがわかった。逆転写PCRの結果からは、T細胞やB細胞の存在も示唆された。 最終年度となる今年度はマダイ腹腔脂肪組織が腹腔内投与された死菌にどのような応答を示すか調べた。まず3種類の炎症性サイトカインの定量PCRの測定系を作製した。次にマダイ未成魚の腹腔内に魚病細菌のホルマリン死菌を投与し、脾臓、頭腎、腹腔脂肪組織を採取、cDNAを作製した。定量PCRにより、投与軍および対照群における、3種類の炎症性サイトカインの発現を調べた。その結果、3種類のうちの2種の炎症性サイトカインについて、投与後、脂肪組織における明瞭な発現上昇が見られた。対照群では変化がなかった。この結果はマダイ脂肪組織が腹腔内投与された細菌に対して炎症性反応を起こすことを示しており、腹腔内に投与される魚病ワクチンの作用機序を考えるうえで重要な知見である。
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