2015 Fiscal Year Research-status Report
ポリアミンは生体内でCO2を濃縮し海洋生物のCaCO3形成や光合成に寄与するのか
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15K07587
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
安元 剛 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (00448200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 剛 北里大学, 一般教育部, 講師 (60205747)
安元 純 琉球大学, 農学部, 助教 (70432870)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリアミン / 光合成 / 石灰化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリアミン(PA)は分子内に複数のアミノ基をもつ低分子化合物の総称で、バクテリアの細胞内には特に多く存在し、「普遍的かつ高濃度で存在する」という点で他の生体アミンとは異なる。我々はこのPAが空気中のCO2と高い親和性を有し、CO2を溶液中に取り込み海洋細菌の石灰化に寄与することを明らかにした。CO2取り込みは光合成でも必須であるため、PAが海洋生物の石灰化や光合成にも寄与している可能性は高い。そこで本研究では、海洋生物の石灰化や光合成におけるポリアミンの寄与を明らかにすることを目的とした。まず、光合成におけるCO2固定酵素であるRubisCOのcarboxylation反応に、PAが取り込んだCO2が供給されるのかを検証した。RubisCOの反応溶液にCO2を吸収させたPA溶液を添加すると顕著なcarboxylation反応が見られ、PAは、in vitroでRubisCOにCO2を供給できることが明らかになった。次に、合成したPA生合成(DFMO)およびPA輸送体阻害剤(PTI)を、シアノバクテリアに付与し、増殖と光合成に及ぼす影響を調べた。その結果、PTIを60~80 uM付与するとシアノバクテリアの増殖は有意に抑制され、光合成活性(酸素発生速度)も減少した。以上のことから、PAはシアノバクテリアの光合成に寄与し、RubisCOへCO2を供給していることが示唆される。また、コユビミドリイシの稚ポリプの飼育駅に合成したPA生合成(DFMO)およびPA輸送体阻害剤(PTI)を付与し、初期骨格形成に及ぼす影響を観察した。その結果、20 uM DFMOを付与した場合、稚ポリプの骨格形成は有意に阻害された。このことから、PAはコユビミドリイシの石灰化に寄与していることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PA生合成(DFMO)およびPA輸送体阻害剤(PTI)が海洋生物の光合成や石灰化を阻害することが確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き検証データを増やすとともに、生体内におけるポリアミンの局在を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に実施する予定であった実験の一部を次年度に実施することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入に充てる
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Research Products
(5 results)