2016 Fiscal Year Research-status Report
卵稚仔における分泌小胞エキソソームを介する個体間情報伝達の分子機序
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15K07593
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
今村 伸太朗 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 主任研究員 (80510007)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エキソソーム / ゼブラフィッシュ / メチル水銀 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は卵稚仔が飼育水中に分泌する顆粒(エキソソーム)の性状、生体への導入経路及び生物活性を解析し、個体レベルでエキソソームの生理・生化学的な役割を明らかにすることを目的としている。これまでにエキソソームを可視化するために膜タンパク質CD63と融合した蛍光タンパク質(GFP)を発現するトランスジェニックフィッシュ(CD63-GFP)を作製した。この系統に対してメチル水銀曝露、γ線照射(DNAダメージ)等のストレスを加えることによって、エキソソームの分泌が促進されることを昨年度見出した。これらのストレスで誘導されるエキソソームを超遠心分離装置で濃縮し、ストレス処理前のゼブラフィッシュ胚の飼育水に投与し、その後、各種ストレスに曝露し、形態変化および細胞死の誘導を調べた。その結果、メチル水銀(100ppm)に対する感受性が低下したが、γ線照射(8Gy)に対しては中枢神経系における細胞死の誘導を抑制することはできなかった。ストレス種によってエキソソームの作用が異なることが分かった。そこで、メチル水銀に対する感受性の低下のメカニズムを明らかにするために、エキソソーム分画に含まれるタンパク質をiTAQ解析によって網羅的に同定した。現在は、同定された遺伝子に対するアンチセンスモルフォリノオリゴによる一過的発現抑制試験もしくはCrispr/Cas9を用いたノックアウト系統を作出し、遺伝子の機能解析を進めている。今後さらにエキソソームによるストレス耐性のメカニズム解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
エキソソームが持つストレスに対する生物活性のメカニズムを解明するために、エキソソームの性状をさらに解析するとともに、エキソソームを受け取った個体における生物応答を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が16473円生じたが、業者への発注後の値引き分であり、概ね予定どおり予算を執行した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として使用する。
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