2016 Fiscal Year Research-status Report
農業経営における企業ソーシャルキャピタルの機能に関する研究
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15K07603
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木南 章 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00186305)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農業経営 / 企業ソーシャルキャピタル / 経営管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
農業経営の企業ソーシャルキャピタル理論の構築に向けて、企業ソーシャルキャピタル研究と伝統的な農業経営学との関係について考察し、農業経営に適用可能な企業ソーシャルキャピタル理論の構築を行った。経営類型、企業形態、立地特性に応じて、企業ソーシャルキャピタルの類型区分について検討し、地域の社会経済的特性との関係について理論的検討を行った。その結果、新しい農業経営管理の基礎となる枠組みが形成された。 実態調査分析によって、農業経営における企業ソーシャルキャピタルの現状と課題を明らかにした。家族経営と組織的経営を対象として、経営管理(生産、販売、労務、財務)の実態、農業者が家族、地域、経営に対する意識、経営成果(財務成果、組織成果)、経営環境の実態を明らかにした。調査結果と収集資料の整理と分析に基づいて、企業ソーシャルキャピタルと経営者の意識、経営管理、経営成果、経営環境との関係について検討した。その過程で、大規模稲作経営におけるITの導入、他出後継者の帰農による農家経営の革新、大都市における園芸経営の体験農園への転換、JA出資型法人のコスト管理の改善、農業法人雇用就農者の独立起業、都市農業における新規参入者の経営資源獲得、などのユニークな事例を取り上げ、それぞれのイノベーションのプロセスにおいて、それぞれの経営における企業ソーシャルキャピタルの蓄積とその機能が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存研究のサーベイ、分析フレームワークの構築、国内調査分析、研究成果の発表、のいずれにおいても、概ね予定通りの進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.農業経営のソーシャルキャピタル理論の構築:農業経営学の体系の中に、農業経営のソーシャルキャピタル理論を位置付け、経営管理論、企業形態論、経営組織論との関係を整理する。 2.国内調査分析:平成27、28年度と同様に、日本における農業経営におけるソーシャルキャピタルの実態と課題を明らかにするためにの調査分析を行う。調査対象は、家族経営(非法人経営、法人経営)、組織的経営(非法人経営、法人経営)、JA・公社等による農業経営である。 3.調査結果・資料収集の取りまとめ:調査結果、収集資料の整理・分析を通じて、農業経営におけるソーシャル・キャピタルの機能に関して、実態調査分析を行う。 4.研究成果の発表:平成28、29年度の成果を関係国際学会において発表し、学会誌に論文投稿する。
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