2016 Fiscal Year Research-status Report
制度派農業経営学による日本・タンザニアの農家経済経営の比較分析
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15K07607
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻村 英之 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50303251)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農家経済経営 / キリマンジャロ / みなべ町 / 遊佐町 / フェアトレードコーヒー / 南高梅 / 共同開発米 / 制度派 |
Outline of Annual Research Achievements |
最初に「混成性の経営目標形成モデル」に基づき、実際は混成している経営目標を、「最大化計算」か「社会制度依拠」かという目標形成の過程や、「私的利益追求」か「コミットメント」か「共感」かという目標内容などに着目して、理念的に仕分けをする(課題①)。次に大槻の農家経済経営の概念図に基づいて、実際は混在している農家経済の内部と外部の、そして農家経済を構成する家計と経営の間での、モノ・カネ・ヒトの流れを把握する(課題②)。 さらに「混成性農家経済経営モデルに基づく経営目標・成果の分析視角」の下で、課題①と課題②を絡み合わせ、「モノ・カネ・ヒトの流れ」(経営行動)の特徴を、それぞれの経営目標に基づくものとして解釈する(課題③)。最後に、それぞれの経営行動が経営目標に達しているか評価する。特に自由な達成を妨害する「ケイパビリティ」の欠如と経営リスク、それらを自力で改善できるか否かに焦点が当てられる(課題④)。 以上のタンザニア・キリマンジャロの農家経済経営構造の特質の解明と経営成果・農村開発の評価のために構築した、「制度派農業経営学」の分析枠組みを、和歌山県みなべ町清川地区で南高梅を生産するA農家に適用すると、下記の農家経済経営構造の特質が浮かび上がってくる。 自ら「梅干し」に加工して消費者などに直販することが私的利益になる。しかし清川地区は昔から、相互扶助の価値観が強いという在来性に引っ張られ、すべてを「梅干し」に加工して私的利益を追い求めようとせず、「青梅」(未熟段階の実)「完熟梅」(生理落下したものを拾い集め、洗浄選果して即座に出荷する実)を出荷会の仲間と協力してJA出荷し、地区・産地全体の発展に資することが同等に重視されている。 「青梅」の販売代金は、特に盆と正月の買い物や梅収穫の労賃(季節雇用)用。毎月定期的に入ってくる「梅干し」直販の代金は、常勤の労賃と運転資金、生活費用。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度(1年目)のタンザニア・キリマンジャロ山中での参与観察・聞き取り調査について、大雨・停電・断水などで調査課題の一部を終えられなかったため、昨年度(2年目)も短期のキリマンジャロでの調査を実施した。 また本年度(3年目)に「制度派農業経営学」の分析枠組みの構築を完了する予定であったが、2年目の和歌山県みなべ町での最初の調査で同枠組みの有効性を実感できたため、分析枠組みの構築については早めに完了し、その成果も含む『キリマンジャロの農家経済経営』という単著での研究成果の公表(本年6月刊行予定)に力を入れた。 そのため、キリマンジャロの農家経済経営との比較分析をする国内の農家経済経営の調査が遅れている。 昨年度は山形県遊佐町での調査を予定していたが、調査対象者との日程調整がうまくいかず、本年度に予定していた和歌山県みなべ町での調査を先に実施した。しかし同じく日程調整がうまくいかず、当初は1週間の予定であったが3日間の調査にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
タンザニア・キリマンジャロ山中での調査は昨年度に完了し、同じく「制度派農業経営学」の分析枠組みの構築も完了し、本年度(最終年度)は遅れている国内調査とその分析に集中できる。山形県遊佐町においては8月、和歌山県みなべ町においては2月に1週間程度の聞き取り調査を予定している。 また遅れを取り戻すために、1週間に3時間だけだが研究補助を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度(1年目)のタンザニアでの調査について、大雨・停電・断水などで調査課題の一部を終えられなかったため、昨年度(2年目)も短期のキリマンジャロでの調査を実施した。また本年度(3年目)に予定していた分析枠組みの構築を早めに完了し、その成果を含む、タンザニアにおける研究の成果公表を急いだ。 その結果、昨年度(2年目)に実施予定であった山形県遊佐町における聞き取り調査(1週間を予定)について、調査可能期間が大きく制約され、調査対象との日程調整がうまくいかなかった。そこで急遽、本年度(3年目)に予定していた和歌山県みなべ町における調査に切り替えたが、同じ理由で2泊3日の調査しかできず、また山形のような遠方でないために交通費も安く上がった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度(最終年度)は遅れている国内調査とその分析に集中する。山形県遊佐町においては8月、和歌山県みなべ町においては2月に、それぞれ1週間程度の聞き取り調査を予定している。また研究の遅れを取り戻すために、1週間に3時間だけだが研究補助を依頼する予定である。
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Research Products
(7 results)