2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07617
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
津田 渉 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (90389693)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 芙俊 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (70571107)
酒井 徹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80457762)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 流通業者、加工業者との連携 / 品質管理と流通効率化 / 産地マネジメント組織の改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、先発野菜産地の流通システムについて共同の実態調査を2カ所で実施したほか、研究分担者の役割に基づいた実態調査、資料整理等を行い、それぞれの視点から、秋田県産地と先発産地の比較考察を試行的に行った。 共同の調査は、1カ所は長野県で、その中でも高原野菜の産地である川上村、南牧村で実施した。もう1カ所は、和歌山県で、有機農産物の生産流通に取り組む、農協の部会や専門農協である。 長野県などの先発産地で生鮮野菜を中心としている産地では、ある程度安定度の高いバリューチェーンが構築されていると見ることもでき、後発産地が取り入れるべき内容を良く吟味することが重要であると確認できた。有機農産物では、地域内流通と全国生協とのネットワークの組み合わせが安定的な産地運営に必要ではないかと思料された。 このほか、秋田県内産地では、小ロットながらの特徴的なマーケティングを行っているうご農協の実情、広域で生産流通を組み立てようとしているスナップエンドウの取り組みを調査したほか、ラズベリー産地化の到達段階を検証した。有機農産物関連では秋田県内の生産者及び流通業者の調査等を行った。さらに、加工業務用野菜の比較対象として清酒原料となる酒米を取り上げた。酒米は農家と清酒製造業者が高いレベルで提携関係にあり、これを分析することで野菜産地のバリューチェーン構築に対しても示唆が得られると考え、調査分析を実施した。また、バリューチェーンの構築には農業側と川下側の流通企業が契約的・継続的な取引関係を構築することが必要不可欠であるが、両者の関係については支配・従属関係を基調として捉える見方と協調・互恵関係を基調として捉える見方がある。これはバリューチェーン構築を考える際に極めて重要かつ理論的な問題で、商学分野である程度の研究の進展が見られるので、商学分野の議論を青果物流通に適用する際の問題点について検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した共同調査をほぼ実施し、貴重な情報やデータを収集できた。平成27年度の発表や研究等を踏まえた成果の公表が行えた。新たな研究成果を学会で発表できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、①引き続き秋田県産地と先発産地における流通チャネル選択や開拓、取引先や小売店との関係性構築、消費者ニーズ把握や品揃え等のチャネルの管理、商品づくり面での工夫などの実情把握を分担して行う。②本格的に秋田県産地と先発産地の比較考察を行い、研究総括のための検討を行う。③また、秋田県野菜産地のバリューチェーン構築に向けて最適な流通チャネル選択・運営管理等の商品アイテムごとのあり方の検討を行う。そして、④関連する文献、業務資料、関連するマーケティングリサーチ資料等を収集して、分担者ごとに本研究に資する分析結果のとりまとめや新たな分析を行うとともに、秋田県野菜産地の流通チャネル問題に影響を与える諸条件を吟味する。
|
Causes of Carryover |
流通事情関連の調査報告書などで適当な内容のものが揃わず、購入が行えなかったことや一部の調査予定が先送りとなったことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査旅費、文献資料の購入により使用する。
|
Research Products
(4 results)