2016 Fiscal Year Research-status Report
日系食品産業の中国・台湾・香港市場における販売戦略に関する研究
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15K07626
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大島 一二 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (40194138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 哉史 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (70571016)
菊地 昌弥 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (30445689)
濱島 敦博 吉備国際大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70581528)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国市場 / 香港市場 / 台湾市場 / マカオ市場 / 日系食品産業 / 中国の商習慣 / 販売戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の食品産業(ここで食品産業とは、農業企業、食品加工企業、外食産業、食品小売業等をさす)の海外進出は、1990年代以降中国を中心に大きな進展をみた。しかし、2000年代に入り、中国における労賃・原材料等のコスト上昇の要因により、日本への原料供給基地としての役割は低下し、かわって、消費者の購買力の向上等を背景とした、中国・台湾・香港・マカオ市場等向け販売の強化という経営戦略の転換が大きな課題となっている。 この状況の中で、本研究では、日本食品産業の新たな発展の方途として、中国・台湾・香港等市場への新たな販売戦略の構築について検討する。具体的には、進出企業にたいする現地調査成果を蓄積し、これらの市場で有効な日系食品産業の販売戦略の構築のための諸条件を検討するものである。 2016年度は研究計画に基づいて、中国事情への販売実績を有してる日系企業の調査を実施した。山東省莱陽市の、①山東朝日緑源農業高新技術有限公司・山東朝日緑源乳業有限公司(牛乳生産販売、アサヒビール現地法人)の追加調査、さらに広東省広州市の②広東順徳日清食品有限公司(カップ麺等の製造販売、日清食品現地法人)の追加調査を実施した。さらに新規調査として、③広東省広州市のヤクルト、④香港の和牛達人(牛肉小売り、外食)、⑤台湾の大戸屋(外食)、⑥台湾のモスバーガー(外食)である。これらの調査から、各社が急速に中国・台湾・香港の販売に注力していることが明らかになった。また、各社の中国市場販売の展開と課題(とくに中国特有の商習慣への対応策、中国市場でのマーケティング戦略等)が明らかになりつつある。今後とも調査結果の分析を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究期間は3年間を計画している。主要な研究としては、各国に展開する日系食品産業(農業企業・食品企業・外食企業・流通企業等)にたいする実態分析を十分に行うため、企業および関係機関を対象とした面接調査、アンケート調査に重点を置き、この新販売戦略の構築・発展のための条件を明らかにする。2016年度は、以下のヒアリング研究と資料研究を計画した。 (1)国内外関係機関(中国・香港ジェトロ事務所、在香港総領事館、台湾の交流協会等)を対象とした聴取調査と関連行政資料収集。 (2)中国の朝日緑源、日清食品、ヤクルト、香港の和牛達人、台湾の大戸屋、モスバーガーを対象とした現地調査。これらの企業を対象とした現地調査を実施し、これまでの進出過程での課題(制度規制、農地取得等の困難、生産上・販売上の課題)、生産、販売情況を把握する。 (3)関係資料(新聞・雑誌記事、研究書、統計書等)の分析に基づく、企業の新規事業、各国の関連政策の転換等の情報収集。これら(1)(2)(3)の研究を総合して、2017年度以降の研究の基礎データを作成する。 この計画にたいして、実際には、以下のように実施した。概ね計画通り実施できたと考えている。(1)広州・香港ジェトロ事務所、在香港総領事館、台湾の交流協会等を対象とした聴取調査と関連行政資料収集を実施した。関連資料の収集と海外戦略にかんするヒアリング調査を実施した。(2)中国の朝日緑源、日清食品、ヤクルト、香港の和牛達人、台湾の大戸屋、モスバーガーを対象とした現地調査を実施した。これまでの進出過程での課題(制度規制、農地取得等の困難、販売上の課題)、生産、販売情況(中国特有の商習慣への対応等)を把握した。(3)関係資料の分析に基づく、企業の新規事業、各国の関連政策の転換等の情報を収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は以下のヒアリング研究と資料研究を計画している。(1)国内関係機関(ジェトロ、アジア経済研究所等)、関連企業(イオン、イトーヨーカドー等の流通企業)からの聴取調査と関連行政資料収集。主な調査項目:本システムにかんする関連政策の変化と、各農業企業・食品加工企業の海外での販売戦略について。(2)中国・台湾・香港各地における農業・食品・外食企業を対象とした現地調査および関連機関調査。中国・台湾・香港等において、2016年度に実施した企業以外の、新規に農業企業・食品加工企業・外食企業・食品小売企業等の調査を実施する。現在のところ、中国においてイオン(スーパー)、台湾で事業を展開するフジオフードシステム(外食)、中国・香港の日清食品、各国で展開するヤクルト(食品)などの新規調査、追加調査を計画している。こうした現地調査の過程で、新規の調査対象等について積極的に開拓する。また、ハイエンド層・中間層を対象とした販売戦略の実効性を検討するため、小売店、さらに中国・台湾・香港政府の関係機関、日本公館、ジェトロ事務所等のヒアリングも実施する。なお、可能であれば、小売店において消費者を対象とした日本農産物にかんするアンケート調査を実施する。(3)関係資料(新聞・雑誌記事、研究書、統計書等)の分析に基づく、このテーマにかんする企業の新規事業、各国の関連政策の転換にかんする情報収集。 これら(1)(2)(3)の研究を総合して、中国・台湾・香港等における新販売戦略の構築情況、各企業の動向、直面する課題(中国の商習慣等)について、情報を集約し、研究をとりまとめる。
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Causes of Carryover |
物品の購入時に単価の関係で若干の残金(39,308円)が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度文具の購入等によって支出する計画である。
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Research Products
(13 results)