2018 Fiscal Year Research-status Report
競争下の米国酪農における規模拡大不利地域の生産回復に関する研究
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15K07632
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 加寿子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80294908)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | アメリカ酪農 / 農地保全 / アメリカ北東部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の研究組織外部の研究者の協力を得て、アメリカ合衆国北東部ニューイングランド地域とニューヨーク州を集乳域とする中規模酪農協とその組合員農家を訪問調査し、これまでの活動経緯と現在の課題、今後の戦略をヒアリングした。現在ヒアリング結果を分析中であるが、現在のところ次のことが明らかとなっている。アメリカ合衆国北東部諸州は、同国における伝統的な酪農産地の一つであるが、1980年代以降の産地移動をともなった酪農経営規模の拡大においてその生産シェアが低下しつつある地域である。北東部は早くから人口密度が高かったため、飲用乳仕向け割合が高く、また酪農協同組合の活動としては、乳業メーカーとの価格交渉のみをおこなうものが多い地域とされてきた。その東北部、マサチューセッツ州の中規模酪農協同組合とその組合員農家を訪問し現地調査をおこなった。そこでは乳業メーカーからの加工工場の買収によって加工事業を拡大し、収益性を高める取組が見られた。低乳価の継続の下で組合員の離農が進行しており、組合員数の急速な減少と、残された農場での生産拡大が見られた。当地でも後継者問題が生じており、若年層に対する取組が重視されていた。また個々の組合員の取組としては、低乳価が継続する下で、都市部近郊の立地を活かし多様な販売ルート・収入源を模索したり、肉用牛の肥育や林業、メープルシロップ生産への取組が見られた。人件費削減のため、搾乳ロボットの導入が見られた。さらに当該地域においてはland easmentと呼ばれる都市的開発からの農地保全制度が営農継続にかかわって重大な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の採択時期、および研究代表者の病気休業のため進捗状況に遅れがあったものの、遅れを取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は最終的な現地調査と研究のとりまとめをおこなう。現地調査においては設営や実施において国内外の他の研究者の協力・動向を得ながら進める。協力要請はすでに着手し、進行している。
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Causes of Carryover |
研究代表者の病気休暇・休職(6ヶ月)のため、海外調査の実施が計画より遅れたため。2019年度に実施する。
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Research Products
(2 results)