2016 Fiscal Year Research-status Report
東南部アフリカにおける小農の生計、リスク、および農業政策に関する社会実装型研究
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15K07635
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
高根 務 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (10450470)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農業政策 / 農村の生計 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、研究対象国であるマラウイとモザンビークの2カ国で農村実態調査を実施した。調査では農民への直接インタビューにより、農村生計と農業政策の相互関係について詳細なデータを収集した。 モザンビークの調査では、モザンビークコットン研究所の協力を得ながら、同国で実施されている農業保険政策の内容と、政策に対する小農の反応を検討した。農業保険に加入する農民は相対的に経営規模と所得が大きいこと、また若年層のほうが保険により加入する傾向が明らかになった。また、農民が支払いやすい保険料の水準についても検討を加えた。これらの結果については、日本国際地域開発学会の研究大会で口頭発表により報告した。 マラウイの調査では、マラウイ農業省の協力のもと、貧困層を対象とした社会的現金給付政策の内容とその実態に注目した。特に、政策の受益者選定に際してどのような基準が用いられ、その基準が実際に選ばれた受益者の特徴と一致しているのかを検討した。その結果、政府が定める基準と、受益者選択に際して農村住民が重視する内容とが、必ずしも一致していないことが明らかになった。ただし、このような基準のずれは必ずしも政策の失敗を意味するのではなく、農村住民の選択基準を政策に反映させることで、受益者選択のプロセスが改善される可能性があると考えられた。これらの調査結果については、査読付き学術雑誌「アフリカ研究」(日本アフリカ学会)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目と同様に2年目の本年度も、当初計画通り2カ国で農村実態調査を実施した。研究成果は学会報告や査読付き学術雑誌掲載論文の形で、順次公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度である平成29年度は、当初計画の通り調査対象国をマラウイに絞り、さらに詳細なデータを収集する。そのうえで東南部アフリカに特徴的な農業政策と小農の生計のありかたの関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
為替レートの変動等により、当初予定より航空券運賃および現地での車両借り上げ費が安価となり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は農村調査の対象村を複数設定して、地域間の比較研究をおこなう予定である。そのため現地での車両借り上げ費が当初予定より増加する見込みであり、次年度使用額はその増加分費用をまかなうために使用する。
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