2016 Fiscal Year Research-status Report
薬草のコンテクストにおける貧困削減と環境保全の両立の探究
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15K07636
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
牧田 りえ 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (20585450)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 天然薬草 / 持続可能な生計 / 自然資源管理 / 有機認証 / フェアワイルド認証 / 農村社会変容 / ブルガリア / インド |
Outline of Annual Research Achievements |
1.海外調査の実施 ブルガリア1回、インド2回、計3回の海外調査を実施した。まず、ブルガリア・カザンラク近郊で、有機認証を取得している天然薬草の収集及び一次加工を行なう業者を通じて、実際に薬草採集を生計手段としている人々(ロマ族を含む)から採集の実態についてヒアリングを行なった。併せて、栽培される作物ではなく、野生植物に適用される有機認証の特性を探るべく、認証機関、及び国立公園管理局から関連情報を収集した。ブルガリアの調査においては、在日本ブルガリア大使館に仲介役としてお世話になった。改めて感謝の意を表したい。 インドでは、現地NGO、Applied Environmental Research Foundation (AERF) が実施する二つのフェアワイルド認証プロジェクトのうち、初年度に訪問がかなわなかったマハラシュトラ州・ビマシャンカルの部族民コミュニティで実施されているプロジェクトを二度にわたって訪問した。最初の訪問時にはプロジェクトの概要を把握することに努め、2回めは採集者世帯の調査を実施した。二度の調査でフェアワイルド認証が採集者の生計において果たしている役割をある程度明らかにすることができた。 2.書籍原稿の推敲、出版にかかる作業 2015年10月にRoutledgeと結んだ出版契約に基づき、著書Fair Trade and Organic Initiatives in Asian Agriculture: The Hidden Realities(他1名との共著)を完成させるべく、英文の吟味・校正も含め多くの時間を割いた。無事、最終原稿を入稿し、出版にこぎつけた。次年度の研究成果として発表できる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブルガリアでの調査に際し、当初、ソフィア大学研究者からの協力を期待していたが、諸事情から協力を得ることが不可能と判明した。しかし、代わりにブルガリア大使館のお蔭で現地調査が実現し、二年次に予定していた計画を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.インドに重点を置いた現地調査の継続 ブルガリアでの現地調査を発展的に継続していくことが難しいとわかったため、調査対象地域としてインドに軸足を移していく予定である。引き続き、AERFの二つのプロジェクトを対比させる形で調査・分析を行なう。 ブルガリアについては、フェアワイルド認証を取得し、ブルガリアからも天然薬草を買い付けているドイツの加工・販売業者に新たな接触を試みており、同社から協力を得られる場合のみ現地調査を実施する予定である。 2.論文執筆に向けた文献調査 これまでに実施したインドの2事例(フェアワイルド認証の二つのプロジェクト地域)の調査結果を中間報告としてまとめるにあたり、理論的な枠組みをつくるための文献調査に時間を割く予定である。天然薬草、及び野生植物全般が持つ生計手段としての特性、販売・貿易ルートに乗せる上での特殊な問題を、栽培した農作物をフェアトレードで支援する場合と対比する形で考察を行なう。学会発表及び学術誌への投稿に向けて、論文の枠組みを作るところまで持っていく。
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Causes of Carryover |
年度末(春季休暇期間)に実施した海外現地調査にかかる精算が終了しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の初めに精算を行なう。
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Research Products
(6 results)