2016 Fiscal Year Research-status Report
早期の地盤圧密沈下実測データに基づいた予測手法の開発と高精度化技術に関する研究
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15K07641
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
金山 素平 岩手大学, 農学部, 准教授 (60398104)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レオロジーモデル / 圧密沈下 / 二次圧密 / ニューラルネットワーク / 予測精度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,粘土地盤の圧密現象の表現において,応力緩和やクリープなど様々な粘弾性挙動を扱うレオロジーに着眼した.粘弾性体模型,四要素モデルを用いて圧密沈下挙動の表現能力を検討した.実測沈下データはカオリン粘土供試体を対象とした9段階の室内圧密試験から求め,実測ひずみに対して四要素モデルの一般式を適用,非線形最小二乗法を用いてパラメータを導出した.適用結果から実測値の沈下曲線に対して,四要素モデルでは応力緩和及び二次圧密挙動を確認できた. 既に構築したニューラルネットワークモデルを,レオロジーモデルのパラメータ導出の応用的な手段として用いた.荷重と載荷前の試料高を入力値,レオロジーモデルのパラメータを教師データとして,入出力関係を学習させた.得られた出力値は,教師データに対して,圧密圧力78.4kN/m2を境に適合度が格段に向上していくという結果が得られた.これは,実測沈下曲線が,圧密圧力4.9~9.8kN/m2のひずみが小さくクリープが不明瞭な挙動と,圧密圧力19.6~1255.3kN/m2のひずみが大きくクリープが卓越した挙動に大別される.ニューラルネットワークモデルがよりパターン性の強い後者の特徴を学習し最適化したため,高圧密圧力領域の再現性が良好であったと考えられる.一方,未知の入力値に対するニューラルネットワークモデルの出力能力を検討するため,新たな入力値とする中間値を作成し,学習させた.得られた出力値と新規入力値に相当する実測値とを比較した結果,ニューラルネットワークモデルによる学習が適切に行われ,新規入力値に対応する中間のパラメータ値が出力された. また,復旧復興工事が行われている宮城県亘理郡亘理町と岩手県陸前高田市の海岸堤防の動態観測を継続して行った.その動態観測と予測に関して,ミャンマーパティン大学および国内の学会にて講演し,情報交換を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
購入したGPS測量機(ハンドヘルドGNSS受信機)を用いて,岩手県および宮城県の海岸堤防の動態観測を引き続き行った.さらに,陸前高田市復興局と盛土構造物の沈下状況,将来の沈下予測について意見交換を行い,今後の協働について議論した.研究成果を過去のデータとともにまとめ論文の投稿を行った.公益社団法人土地改良測量設計技術協会主催の平成28年度農業土木技術管理士研修会にて研究成果の講演を行った.また,国内,国外学会における講演および情報交換を行ったことから,順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
入手した沿岸被災地の盛土構造物の地盤沈下状況を分析し把握するとともに,構築している予測手法および従来法を使用して地盤の沈下予測を行う.また,これと並行して,軟弱な地盤の改良について新たな知見を得ること,環境に配慮した地盤改良工法技術を開発することについて,情報収集と実験的検討を開始する. 本研究で得られた成果を,国内および国外の学会にて発表するとともに,論文として公表する予定である.
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Causes of Carryover |
現在投稿中である論文の投稿料の支払いが次年度へずれこんだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
投稿料に充てる.
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Research Products
(5 results)