2016 Fiscal Year Research-status Report
カンボジアにおける牛糞堆肥の施用による土壌保全と大腸菌の抑制対策に関する研究
Project/Area Number |
15K07654
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
三原 真智人 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00256645)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 貴司 特定非営利活動法人環境修復保全機構(研究センター), 研究センター, 研究員 (60713766)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 農地整備・保全 / 大腸菌抑制 / カンボジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カンボジア国コンポンチャム州の小流域を研究対象として、牛糞堆肥の施用による土壌保全の効果を定量的に評価するとともに、営農体系別に見た大腸菌生残の把握と農地からの大腸菌の流出に対する抑制対策について明らかにすることを目指している。2016 年度には、牛糞堆肥の施用と収入の関係を把握するための量的調査を、大腸菌生残を把握するための質的調査に加えて実施した。量的調査としては、牛糞堆肥の施用農家と非施用農家合わせて64 人を対象として、アンケート調査を実施して牛糞堆肥の施用で農家の収入増減をどのように実感したかについて評価した。一般化線形モデルを適用して解析した結果、牛糞堆肥の施用と過去5 年間の収入増加の認識には相関が見られた。さらに、栽培作物の数と収入増加の認識においても相関が見られた。質的調査としては、牛糞堆肥および農地で生残する大腸菌を調べた。堆肥槽における大腸菌の生残を調査したところ、40 堆肥槽のうち39 箇所の堆肥槽から大腸菌が検出される結果となり、さらに19 圃場での大腸菌を調べた結果、18 圃場から大腸菌が検出された。大腸菌が検出されなかった圃場を所有する農家は、大腸菌が検出されなかった堆肥槽の所有者と同一であった。これらの結果より、牛糞堆肥の施用は収入の増加に寄与していると判断できるが、一方で殆どの堆肥槽と農地から大腸菌が検出されており、今後詳細な究明が必要であることが分かった。その対応策として日本国内において食品残渣の中でもコーヒー残渣に注目し、コーヒー残渣の添加が堆肥の発酵過程に与える効果と大腸菌の生残に及ぼす影響を評価した。その結果、コーヒー残渣の添加は堆肥化過程における衛生問題、特に大腸菌を抑制できる対策の一つであることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、現地において詳細な研究を実施できた。具体的には、牛糞堆肥の施用と収入の関係を把握するための量的調査と大腸菌生残を把握するための質的調査を実施した。量的調査としては、牛糞堆肥の施用農家と非施用農家合わせて64 人を対象として、アンケート調査を実施して牛糞堆肥の施用で農家の収入増減をどのように実感したかについて評価できた。また、質的調査として堆肥槽における大腸菌の生残を調査したところ、40 堆肥槽のうち39 箇所の堆肥槽から大腸菌が検出される結果となり、さらに19 圃場での大腸菌を調べた結果、18 圃場から大腸菌が検出された。これらの結果より、牛糞堆肥の施用は収入の増加に寄与していると判断できるが、一方で殆どの堆肥槽と農地から大腸菌が検出されており、今後詳細な究明が必要であることが分かった。その対応策として日本国内において食品残渣の中でもコーヒー残渣に注目し、コーヒー残渣の添加が堆肥の発酵過程に与える効果と大腸菌の生残に及ぼす影響を評価した。その結果、コーヒー残渣の添加は堆肥化過程における衛生問題、特に大腸菌を抑制できる対策の一つであることが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度に実施した結果より、牛糞堆肥の施用は収入の増加に寄与していると判断できるが、一方で殆どの堆肥槽と農地から大腸菌が生残していることが明らかとなった。2016年度は食品残渣の中でもコーヒー残渣に注目し、コーヒー残渣の添加が堆肥の発酵過程に与える効果と大腸菌の生残に及ぼす影響を評価した。2017年度以降もカンボジア国コンポンチャム州で適用可能な大腸菌の抑制対策について、研究を進める必要があると考えている。
|
Causes of Carryover |
2016年度はほぼ予定通りに、研究の推進とともに会計の執行を行うことができた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は2016年度の繰越金773円を加算して、物品費を中心として執行していく予定である。
|