2015 Fiscal Year Research-status Report
潮流発電技術を応用した農業用水路に設置の小水力発電システムによる地域再生の実現
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15K07656
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Research Institution | Oshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
北風 裕教 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70342558)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小水力発電 / 潮流発電 / ダリウス翼 / サボニウス翼 / 混合型水車 / 地域再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,潮流発電システムを農業用水路に活用して電気の安定供給を実現することで過疎化,少子高齢化地域において,夜間でも無料でLED電灯を灯すことのできる環境を整えることを目的とする.過疎化地域における道路の暗闇問題を解決し,安心して生活を送ることができる生活基盤を整えるユニバーサルデザインの仕組みを確立させる. まず,小水力発電システムが効率よく発電できる近隣の河川や農業用水路を調査した.サボニウス翼とダリウス翼の混合翼が適度に水中に設置でき,発電機やバッテリーが台風などにおいても水につからない環境を確認し,設置実験を行うための候補地の決定と,実験の許可申請を行った. 次に,開発済みの潮流型発電システム(ステンレス製・重量30kg)を河川や農業用水路で活用できる小水力発電システムへと改良を試みた.金属部には,強度を維持しつつ表面に参加被膜を形成することで錆びに強いチタン材を採用し,側溝幅360mm以上のタイプに対応できる直径300mmのシステムを開発した.筐体を含めて10kg程度のシステムを実現した.同時に,ネイチャーテクノロジーを導入して,世界一速く泳ぐセイルフィッシュをモデリングしたダリウス翼の設計を行い,平生町松本川(山口県)において1か月かけて予備実験を実施した. 平生町松本川は,実験候補地の中で最も流量が少なく,流速も0.3m/s程度で遅いために,揚力を回転力にするダリウス翼の3段構造の水車では,回転することなく発電することができない.また,抗力を回転力にするサボニウス翼3段構造の水車では,回転力が弱く,発電量が少ない状況であった.開発したサボニウス翼とダリウス翼の混合型水車においては,これらの水車よりも効率よく回転し,発電量を得ることができた.4月以降に,流速が0.9m/s程度で流量もある河川と農業用水路において本実験を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度として,(1)河川と農業用水路の実施調査,(2)潮流発電システムを農業用水路用の小水力発電システムへ改良,(3)ネイチャーテクノロジーの導入によるダリウス翼の試作,を実施した.当初の予定よりも開発が順調であったことから,(1)で候補に挙げた平生町松本川下流において,システムの不具合が無いか予備実験を実施することができ,各パーツの形状問題などを検討することも実現できた.以上の事から,おおむね順調に進展していると評価をした.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,翼の形状について最適なモデルを3D-CAD,3Dプリンターを用いてABS樹脂で開発する.これまでのダリウス翼のモデルはNACAモデルを利用してきたが,流速が低速流れの場合においては,回転を停止させてしまうタイプもあり,大きな影響を受けている.また,流速が速くなった際には,サボニウス翼が抵抗となり,トルクを下げる結果となっている.この問題を解決させるために,サボニウス翼の機能を合わせ持つダリウス翼の設計を行い,水車部のトルクの向上を目指す.翼の開発については,本校の回流水槽実験装置を用いて,流速上昇および下降時の回転数,トルク,発電量などの計測を実施し,最適なモデルを絞り込む.回流水槽における実験後には,初年度に候補に挙げた河川や農業用水路において,実験を行い,定常流れとの比較実験を実施する.LED電灯用のバッテリーに,日中は充電を行い,少なくとも夜間(18時~22時)の4時間程度はLEDが点灯することを目標にしてシステム開発を進める.また,本校技術職員の本庄孝光氏,堀義則氏,砂田智裕氏の3名を研究協力者とし,システムの性能向上および商品化などの実現を目指す.さらにこの技術を確立させ,農業用水路の側溝に発電システムが設置されたユニット型側溝を設計して,多数ユニットの連結構造による発電システムについて検討する.
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Causes of Carryover |
旅費について:当初予定していた学会発表の実施場所を変更したため. 人件費・謝金について:実験補助の依頼を考えていた人が体調を崩されて実施ができなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験補助を担当する方の体調がよくなったので,実験補助を再度依頼し対応する. また,なるべく多くの学会に参加し,進展状況を広く告知する.
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