2016 Fiscal Year Research-status Report
蛍光分光法を用いたクラフトビールの酵母活性と品質安定性の数値化
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15K07661
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
齋藤 高弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50221990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 匡嗣 宇都宮大学, 農学部, 助教 (60750198)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光分光 / ビール酵母数 / 醪 / 糖 / アルコール |
Outline of Annual Research Achievements |
醪中のビール酵母を濾過と遠心分離によって分離し、それぞれ蛍光スペクトルを測定した。醪原液の蛍光スペクトルは4つのピークが出現したのに対し、2種類の方法で濾過した醪の蛍光スペクトルは、検出波長590、635、700 nmのピークが消失した。このことから、特に検出波長635 nmに出現するピークはビール酵母の有無に関与したと考えられた。一方、グルコース溶液およびエタノール溶液の検出波長635 nmのピークの最大蛍光強度は、それぞれ64 counts/20 μs、67 counts/20 μsであり、醪の最大蛍光強度の22326 counts/20 μsに比べて非常に小さいことから、糖やアルコールはビール酵母由来のピークにほとんど影響しないことが明らかとなった。 次に、種類の異なるビール酵母においても同様の傾向が見られるのかを検証した。代表的な上面発酵酵母と下面発酵酵母の計2種の励起波長425 nmにおける蛍光スペクトルは、上面発酵酵母および下面発酵酵母のいずれの蛍光スペクトルにおいても検出波長635 nmにピークが検出された。このように、ピークの検出波長はビール酵母の種類によらず同じことが明らかとなった。なお、上面発酵酵母の最大蛍光強度は319 counts/20 μs、下面発酵酵母で487 counts/20 μsを示し、醪に比べて非常に小さい値であった。醪中のビール酵母、上面発酵酵母および下面発酵酵母の数は、それぞれ743000 cells/μL、8133 cells/μLおよび15400 cells/μLであり、最大蛍光強度の差はビール酵母数と関連する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
励起波長と検出波長の妥当性に関し、アルコール濃度、グルコース濃度、酵母の種類の違いを検討したところ、それらの影響がほとんど無いことが明らかになるとともに、発光がビール酵母数と関連する新たな知見が明らかになったことより、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の妥当性の担保するために、発光の直接的因子を明らかにする。本年度の成果より、酵母数との関連が推察され、酵母の状態やATPとの関連を探究する予定である。
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Causes of Carryover |
蛍光スペクトルに与える因子の解明に関し、安定した再現性の高い計測が成され、当初の予定より分析試薬などが節減できたために生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は酵母数に計測に関して必要となる試薬類が多く必要となることが想定され、有効に活用する予定である。
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