2017 Fiscal Year Annual Research Report
Monitoring of Beer Yeast Activity Using Fluorescence Spectroscopy
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15K07661
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
齋藤 高弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50221990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 匡嗣 宇都宮大学, 農学部, 助教 (60750198)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光分光 / 酵母 / 代謝活性 / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
紫外線を20分間照射した醪の蛍光スペクトルにおいて、検出波長635 nmのピークは大きく減少した。紫外線照射した醪中のビール酵母の死細胞率は98.1 %となり、ほとんど全てのビール酵母が死滅していた。そのため、ピークはビール酵母の生死と関係していることが示唆された。そこで、ビール酵母の生死とピークの屈曲度との関係を明らかにするため、死細胞率の異なる醪20種のピークの屈曲度を調べた。その結果、ピークの屈曲度は死細胞数との間に負の相関、生細胞数との間に正の相関がそれぞれ認められ、屈曲度はビール酵母の生細胞数を推測する手段となり得ると考えられた。 そこで、発酵初期におけるビール酵母の代謝活性と関係していると言われるATP1をビール酵母の状態を評価する指標とし、屈曲度との関係を調べた。生細胞数は、ATP発光量との間に正の相関が認められた。このように、屈曲度は生細胞数と相関が認められることから、ATPとも密接に関係していることが明らかとなった。なおATPは、同じ種類のビール酵母であっても生細胞1個あたりで7倍も異なる。そのため蛍光分光法を用いた本手法で得られる屈曲度は、ビール酵母の数やその生死だけでなく、ビール酵母の代謝活性を評価する指標になり得ると考えられた。 蛍光分光法において、ビール酵母の測定に最適な励起波長は425 nm、検出波長は635 nmであることが判明した。また、蛍光スペクトルの検出波長635 nm付近のピークの屈曲度はATPと密接に関係していることが明らかとなった。そのため蛍光分光法は、地ビールの醸造現場で、簡便かつ迅速にビール酵母の代謝活性を評価する手法になり得ると考えられた。
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