2015 Fiscal Year Research-status Report
速度変数計測を導入した植物工場の投入資源最適化環境制御に関する研究
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15K07662
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古在 豊樹 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 名誉教授 (90081570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物工場 / 速度変数制御 / 投入資源利用効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
学術図書の出版で世界的に有名なAcademic Press社から人工光植物工場に関する書籍(Kozai, T, G Niu and M Takagaki. 2015. Plant Factory: An indoor vertical farming system for efficient quality food production.445 p.p.)を筆頭編著者として出版できたのは大きな成果である。同書には、本研究の中心課題である人工光型植物工場に関する資源利用効率と速度変数に関する成果が十分に盛り込まれている。 太陽光型植物工場に関しては、国際園芸学会での基調講演を中心とした内容が盛り込まれた総説論文(T. Kozai, C. Kubota, M. Takagaki and T. Maruo. 2015. Greenhouse environment control technologies for improving the sustainability. Acta Horticulturae. 1107. 1-13.)が公表されたのは大きな成果である。 原著論文としては、人工光植物工場における上方照射の成長促進効果を明らかにしたことが成果の1つである。太陽光植物工場では、夜間ならびに昼間の補光の成長・収量促進効果をトマト栽培に関して明らかにしたことの成果が大きい。さらには、ライフサイクルアセスメントの立場から太陽光型植物工場の建設・運転時のエネルギー収支・CO2収支の観点から論じ、さらなる省資源を諮る方法について議論した。また、水蒸気飽差がトマト生長とトマト果実収量におよぼす影響を明らかにできた。 これら研究の成果を含めて、パナマ、米国、中国、シンガポールでの国際シンポジウムなどにおいて、招待講演を行い、好評を得た。 未発表ではあるが、植物工場における各種速度変数(正味光合成速度、暗呼吸速度、吸水速度、養液供給速度、蒸散側ぢ、消費電力、CO2施用速度など)の計測と制御は順調に進み、2016年度には公表できる見通しである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に述べた研究目的、研究計画、研究方法にそって本研究が実施され、期待した成果がほぼ得られた。本研究では、実用規模である比較的大型の植物工場(床面積2000平米)で実験が行われているので、そこから得られる研究成果は、学術的だけでなく農業生産への応用価値が高いことが利点となっている。 他方、実験の遂行に関して、企業の協力を必要としているので、実験の必要性とビジネス上での成果の活用に関して配慮する場面が出始めている。その結果。基礎研究と応用研究の両立に関する配慮と努力の必要性が増しつつある。今後とも、学術的成果をさらに高めることを第一としながらも、産業的な価値がある研究をさらに遂行したい。 なお、植物工場に関する社会的な期待が高まり、本研究の申請時期に比較して、注目度が高まり、それへの対応に費やす時間が増え、研究時間の確保に対する努力が増している。平成27年度は、速度変数の計測制御の結果をまとめて公表することが大きな目標である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究分野に関わる研究者の数が世界的に増えつつあり、オリジナルな研究成果を世界に先駆けて論文とすることがしだいに困難になりつつある。そこで、研究方法論と研究目的のさらなる向上と改善が期待されている。 そこで、計測制御とその改善に関する研究の遂行を、商業的生産・販売の現場で行い始め、その解析が生産性向上に結びつくようにしている。その中で、商業生産をしながら、遠隔計測、画像計測、見える化に関する方法論を実験の中に取り入れつつある。このほう尾法論をソフトウェア化することで、今後、研究方法論の進展と研究成果の実用化が早まると期待される。
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Causes of Carryover |
国際園芸学会シンポジウムに参加して、講演を行う予定だったが、健康上の理由により、取りやめた。そのため、旅費の執行額が予算より下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、人件費と謝金および物品費(3D プリンタ)に支出予定である。
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Research Products
(16 results)