2017 Fiscal Year Research-status Report
速度変数計測を導入した植物工場の投入資源最適化環境制御に関する研究
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15K07662
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古在 豊樹 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 名誉教授 (90081570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人工光型植物工場 / 正味光合成速度 / エネルギー・物質収支 / 表現型 / 非破壊計測 / 光環境 / 空気分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に人工光植物工場で実施した研究方法と解析方法を改善して, 29年度も引き続いて人工光型植物工場のエネルギー・物質収支に関する実験的ならびに理論的研究を継続した。特に、平成28年度中に明らかにした本研究の物資収支・エネルギー収支方法論を用いて、栽培面積当たりの生産量を推定する方法を開発した。 栽培室内の空気分布,および光環境のバラツキに関わる問題は,多点測定による平均化および空気撹拌による均一化などで28年度は対応したが, その処理方法に関しては,29年度にもさらなる検討を行った。そして, 正味光合成・CO2施用・かん水の各速度, それらの利用効率, および総生産コストに基づいて, 気温, CO2濃度, かん水速度, 気流速度の制御のために必要な投入資源のコストとCO2排出量に対する価値創出量の比を最大にする環境要因設定値の組み合わせを求める方法論を見出した。コストは資源投入量に単価を乗じて, 総コストは各資源のコストの和として求めた。29年度に、植物群落の表現型 (phenotype) を非破壊的に計測する課題に取り組み始めたが、その成果は未だほとんど得られていない。環境要因の最適組み合わせは, 28年度は、第一段階としては総コストに対する正味光合成速度の積算値(乾物増加量)の比を最大にするものとして求めたが, 29年度では多目的最適化問題として, 本格的に検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2016年、2017年は、人工光型植物工場に関する研究開発とビジネスが欧米を含めて、世界的に関心を集めた。その傾向は今後も続きそうである。日本は、人工光型植物工場に関する研究開発とビジネスに関しては、現状では、世界トップクラスであることから、2017年には申請者らに国際シンポジウムでの講演の招待や共同研究の申し込みが相次いだ。これらの学術交流を通じて、申請者の視野と知見さらには人的つながりが広がり、従来の研究課題に新たな研究課題を融合させる必要が生じてきている。新たな課題には、表現型(phenotype)の非破壊計測、人工知能および白色LEDの人工光型植物工場への応用が含まれる。さらには、栽培システムの抜本的改良が求められている。 上記の国際的変化に対応するには学際的チームを必要とするので、本課題に関する申請者の個人研究(基盤C)に加えて、人工知能とphenotypingを基盤とした人工光型植物工場に関する研究プロジェクトチームの編成を数人の研究者と共に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に関しては、当初、学術的側面を中心に推進してきたが、日本および世界の最近の状況を考えると、国内外での多分野間の連携協力および産業的応用面にも配慮する必要が生じている。そこで、本研究課題の当初の目的、方法論および学術的側面を堅持しつつも、その成果を多分野と統合することが必要とされている。そこで、本研究課題の成果の1つとして、本課題とその応用面に関する学術書の出版を企画している。すなわち、研究成果を学術誌へのオリジナル論文として投稿することに加えて、研究成果を研究者だけでなく、政策研究者、行政者さらには産業界にも役立つようにしてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)平成30年2月に米国で開催される植物工場セミナーにて成果を発表する予定であったが、個人的な事由により参加できなくなり、未使用額が発生した。
(使用計画)30年度8月にトルコのイスタンブールで行われる国際園芸学会(XXX. International Horticultural Congress)にて招待講演を行い本研究成果を広く発信する。未使用額はその旅費として予定している
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Research Products
(16 results)