Outline of Annual Research Achievements |
建築物緑化の環境改善能を定量化するため、異なる施工年(0年、5年、12年、15年)の同一仕様の屋上緑化システムの大気汚染物質の定量化を試みた。大気粉塵(APM)はNOx、SOxと並び、代表的な大気汚染物質とされている。わが国においても近年PM2.5 (APMのうち粒子径 < 2.5マイクロメートルの微粒子)による健康被害が懸念されている。APMには金属元素が含まれており、屋上緑化の芝地土壌に蓄積された元素を定量化することで、屋上緑化によるAPM捕捉効果を解明した。分析は Li, Na, Mg, Al, K, Ca, V, Cr, Mn, Fe, Ni, Co, Cu, Zn, Ga, As, Se, Rb, Sr, Ag, Cd, In, Cs, Ba, Tl, Pb, Bi, Uを指標として、前年度にサンプリングし、調整済みの試料として植物体と土壌(有機土壌層と軽量土壌層)を用いて分析した。その結果、分析元素は統計処理によって、K、Cu、Zn、Pbが抽出され、特にCu、Zn、Pbは施工年数が経過するごとに有意に蓄積量が増加する傾向が確認され、大気浄化能力(APM補足効果)を有することが示された。また、Kは肥料として施用されることから、施工初期から高い傾向が示された。 また、本研究とこれまでに得られたすべてのデータをライフサイクルアセスメント(LCA)解析ソフトに入力し、CO2 Payback Timeを算出したところ、10年以内に二酸化炭素削減効果が屋上緑化システム製造時の二酸化炭素排出量を上回ることが明らかとなり、屋上緑化は二酸化炭素削減に貢献すると考えられた。
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