2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of freshness deterioration mechanism of fruits and vegetables by microspectrophotometric technique
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15K07666
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒木 信一郎 神戸大学, 農学研究科, 助教 (00420505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 博通 神戸大学, 農学研究科, 教授 (00258063)
中野 浩平 岐阜大学, 大学院連合農学研究科, 教授 (20303513)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞膜水伝導係数 / アクアポリン / 水分保持能 |
Outline of Annual Research Achievements |
播種から7週間後に収穫した水耕栽培のホウレンソウ葉の第3または第4葉から単離したプロトプラストを用いて、植物細胞膜の水透過性を示す細胞膜水伝導係数(Lp)の変化を調査した。まず、浸透圧応答に伴う細胞の体積変化画像から個々の細胞ごとの浸透圧非応答体積_(Vb)とLpを数値解析的に同時同定する新手法を開発し、ホウレンソウ葉肉細胞のVbには分布があること、および既存の研究で多用されるBoyle van’t Hoff (BVH)プロットを用いる方法と比較して、当該手法がより正確で精密なLp同定に有効であることを明らかにした。次いで、収縮(浸透脱水)時のLpは収穫日と比較して4日目に有意に増大する一方、膨張(浸透吸水)時のLpは収穫直後から2日目にかけて減少した後、4日目に増大する傾向があること、および収穫直後の膨張時のLpは収縮時のLpの1.3倍の値を示し、収穫後2日目以降にその大小関係が逆転することを明らかにした。本結果は、ホウレンソウ葉肉細胞の吸水力が収穫後の時間経過に伴い低下することを示すものであり、商業的に利用されている、いわゆる蘇生処理の効果が、鮮度劣化の進行と共に喪失するという既往の知見を支持するものである。さらに、塩化水銀を添加した場合のLpとの比較により、アクアポリンが細胞膜の水透過性の増大に対して支配的な要素であること、および水透過性は収穫後の時間経過に伴って細胞内への流入方向から流出方向に優勢が転じることが明らかとなった。以上により、細胞膜水伝導係数の高精度算出法を新規に提案して、その有効性を実験的に証明すると共に、水の流出入方向とアクアポリン経由、およびリン脂質二重層経由の水移動についての詳細な考察によって、収穫後のホウレンソウ葉における水分保持機構の解明や鮮度保持・評価技術の発展にも寄与する成果を得た。
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