2015 Fiscal Year Research-status Report
グルカゴン様ペプチドの分泌制御機構の解明とその動物生産への応用
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15K07689
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平松 浩二 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (80238386)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 消化管内分泌 / グルカゴン様ペプチド / 免疫組織化学 / ニワトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
課題研究の初年度である平成27年度は、GLPと他のホルモンとの共局在を解明およびアミノ酸添加飼料を与えた後の共局在の変化の解析を目標として研究を行った結果、次の様な成果を得るに至った。 1.ニワトリ小腸においてGLP-1は、ニューロテンシンと共存するが、両者の生合成及び分泌の時機は異なることが免疫組織化学法、免疫細胞化学法及びin situハイブリダイゼーション法により明らかとなった。この結果は、生物科学系国際誌に投稿準備中である。また、この研究から派生した実験より、GLP-1は小腸陰窩において生合成され、絨毛上皮では分泌されるのみであることが判明し、GLP分泌細胞の陰窩-絨毛軸での動態が解明された。この結果は、Domestic Animal Endocrinology誌(IF2.171, Vol.56, 2016年, pp70-74)に掲載された。 2.無タンパク質飼料にメチオニンまたはリジンを添加した実験飼料を供試鶏に給与した後に、小腸におけるGLPの前駆体であるプログルカゴンの遺伝子発現をin situハイブリダイゼーション法で解析したところ、メチオニン及びリジン添加飼料群で無タンパク質飼料群よりも発現細胞数が増加し、通常飼料群と同程度となった。この結果は、獣医系国際誌に投稿準備中である。またこの研究から派生した実験より、全卵粉を飼料に添加し給与すると小腸の吸収上皮細胞及び杯細胞の増殖に影響することが明らかとなった。この結果は、北信越畜産学会報(Vol.112, 2016年, pp37-42)に掲載された。 3.GLP-1とソマトスタチンまたは膵ポリペプチドとの共存について、免疫組織化学法及び免疫細胞化学法を用いて、解析中であるが、ソマトスタチンはGLPと共存しないことが現在までに判明している。また、アミノ酸添加飼料を給与した供試鶏において同研究を行い、こちらも現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目標として、GLPと他のホルモンとの共局在を解明およびアミノ酸添加飼料を与えた後の共局在の変化の解析を挙げていた。 前者については、GLP-1とニューロテンシンの共存に関する解析が終了し、現在、国際誌(Cell and Tissue Research、IF3.565)への投稿を準備している。また、この研究から派生した実験から得られた結果は、関連学会(第158回日本獣医学会学術集会、平成27年9月、北里大学; 2015年度日本家禽学会秋季大会、平成27年9月、酪農学園大学; 2016年度日本家禽学会春季大会、平成28年3月、日本獣医生命科学大学)において発表されたと共にDomestic Animal Endocrinology誌(IF2.171, Vol.56, 2016年, pp70-74)に掲載された。 後者についても、無タンパク質飼料にメチオニンまたはリジンを添加した実験飼料を供試鶏に給与した後の小腸におけるGLP前駆体であるプログルカゴンの遺伝子発現について解析が終了しており、現在、その結果を国際誌へ投稿準備中である。アミノ酸添加飼料を給餌した後のホルモンの共局在については、現在解析中であり、平成28年度中には結果をまとめ国際誌へ投稿する予定である。 以上の状況から、計画された研究は概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、前年度の研究経過の取り纏めと解析途中の実験を引き続き行う予定である。具体的には、次の通りである。 1.アミノ酸添加飼料摂取後のプログルカゴン遺伝子発現についての結果を取りまとめ、国際誌に投稿する。上述の様にこの実験については解析が終了しており、なるべく速やかに投稿に至らせる。 2.アミノ酸添加飼料摂取後のGLP-1とニューロテンシンの共存について、引き続き解析を行う。この研究では、両ペプチドの発現を免疫組織化学法により明らかにするだけではなく、プログルカゴン及びニューロテンシンのmRNA発現をin situハイブリダイゼーション法により解明することにより遺伝子レベルでの関係についても考察する。また、GLP-1とソマトスタチン並びに膵ポリペプチドとの共存についても引き続き解析を行う。 3.小腸壁内神経叢における主な神経ペプチド(血管作用性腸ペプチド、神経ペプチドY、P物質、PACAPなど)の分布を明らかにし、GLP-1含有細胞を始めとする消化管内分泌細胞との関連を解明する。今年度のは光学顕微鏡レベルでの解析を行い、最終年度に電子顕微鏡レベルの解析を行う予定である。
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Research Products
(8 results)