2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of adipose tissue remodeling on bovine adipogenesis
Project/Area Number |
15K07699
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山田 知哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門飼養管理技術研究領域, 上級研究員 (80343987)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肥育牛 / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトや実験動物では、脂肪組織内に脂肪細胞が増殖分化するための環境を構築する組織リモデリングがアディポジェネシスに重要な役割を果たしていることが明らかとなった。したがって肥育牛におけるアディポジェネシス制御機構を解明するためには、ウシ脂肪細胞自身の分化メカニズムの解明に加え、脂肪組織リモデリングがアディポジェネシスに果たす役割を明らかにすることが必要である。ウシ品種の違いによる体脂肪蓄積能力の差は、脂肪組織リモデリングによる影響を受けている可能性が推察される。そこで、黒毛和種とホルスタイン種における脂肪組織リモデリング制御因子発現の品種差を検討した。 HMOX1ならびにSOD遺伝子発現は、皮下脂肪組織ならびに内臓脂肪組織ともに品種差は認められなかった。一方、アディポネクチン遺伝子は、ホルスタイン種の内臓脂肪組織において、黒毛和種より高い発現であった。一方、皮下脂肪組織では、アディポネクチン遺伝子発現量に差はなかった。ヒトや実験動物を用いた研究において、脂肪組織からのアディポネクチン発現は肥満の進行に伴い減少することが報告されている。さらにアディポネクチン分泌は、脂肪細胞機能が正常である時に多いのに対し、過度の肥満の進行に伴い低下することが明らかとなっている。アディポネクチンは、抗炎症作用を有しており、アディポネクチン分泌低下は動脈硬化の要因となることがヒトや実験動物において見出されている。従って、黒毛和種肥育牛の内臓脂肪組織では、ホルスタイン種と比較し炎症状態が亢進していると考えられた。また、これら脂肪組織炎症状態の品種差に関し、特に内臓脂肪において顕著な影響が認められると推察された。
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